[特別寄稿]
入門期に出会う説明文
郡  慶 子

 小学校に入学してから約50日ばかりの1年生が初めて出会う説明文「くちばし(光村図著)」をどのように進めていくことが子どもたちの「国語って楽しい」という気持ちを育むことができるのかを考え、学習計画を立てた。

○めあて
 ・鳥のくちばしのお話を詳しく読もう。
 ・その後で「生き物クイズ」を作って、学校の先生にクイズを出そう。
○計画
 @鳥やくちばしについて知っていることを話し合う。(2時間)
 Aどんなことが書かれているか、読んで確かめる。(2時間)
 B形を表す言葉を考える。(1時間)
 Cクイズを作って、先生たちに問題を出して答えをもらう。(2時間)

 教科書と図鑑と学校にある鳥の剥製を使って、導入を行った。知っている鳥をノートに書いてから発表すると、自信をもって発表し、「もっと書いていいですか?」と、まだまだ書きたい気持ちを素直に伝えることができた。普段、授業中の発表に消極的な児童も、どんどんノートに鳥の名前を書いて、図鑑をみんなに見せながら発表することができた。
 その後行った「口とくちばしの違いについて考えよう」でも、自分の口を触ったり、図鑑を見たりして両者を比較しながら活発に意見を交流した。

 「詳しく読み取ろう」の段階においては、毎時間「音読→めあての確認→一人学び→交流→深める(教師の準備したしかけを使ったゆさぶり発問についてみんなで考えを交流し、深める)→まとめ→振り返り」の流れを決めて授業を行ったことで、安心して学習に向き合うことができた。また、書き慣れるために視写や振り返りといった「書く活動」も取り入れたが、振り返りではリード文がないとまだ難しい実態もあった。

 それぞれの鳥についてのしかけは、教科書には載っていない写真や手作りの工作を用意した。はちどりにおけるゆさぶり発問は「あんなに小さな体にあれだけ長いくちばしは邪魔ではないですか。」というものだった。
 子どもたちは、それまでの学習で、くちばしの形態と食べ物を摂取することが関連していたことに気付き、根拠に基づいて意見を表明することができた。学習の途中では、くちばしの形が違うのは、鳥の体の色が違うからだと考えていた子どももいるが、授業の終わりには、1年生なりの論理的思考を深めることができたのではないかと思う。

 子どもたちは、「いつ、クイズを作るのか」「早く作りたい」と目を輝かせて訴えてきた。今後も子どもたちが「国語って楽しい」という思いをもち、確かな国語力を身に付けられる授業を展開していけるよう精進したい。
(西脇市立双葉小学校)