言葉には魂が宿る 〜神戸合同研究会に参加して〜
勝 矢 真 一 郎

 「第46回国語研究集団合同研究会」に参加し、提案の機会をいただいた。提案内容は、「深イイトークの実践〜話したくてたまらない、聞きたくてたまらない子どもたちの姿を目指して〜」である。「話すこと・聞くこと」の日常的な活動実践、質問者がゲストに質問していくことで、魅力を引き出していく「深イイトーク」の授業実践について、動画を用いながら紹介した。「深イイトーク」とは「人と対話することによって、新たな発見や気づきが生まれること」を意味している。対話的活動を取り入れることで、「書写」を子どもたちの成長の場に昇華されていた東風の会の先生の提案、音読の仕方をクラス全体で考えることで、読みの深まりと学び合う集団づくりを追求されていた竹の会の先生の提案、どちらも私にとって「新たな視点や気づき」をもたらしてくれる、まさに「深イイ実践」であった。そんな研究会で、わたしが最も感銘を受けたのが、諸先輩方から放たれる「言葉」の力であった。経験や信念に裏打ちされた言葉ほど力強いものはない。

「30代は無茶苦茶したらいい。それくらいがちょうどいい。」
「すべての教育活動に意図をもっているのが主体的な教師だ。」
「教師はアイディアをもたな、いかんのや。」
「教師『に』なるのは簡単。教師『と』なるのは難しい。」
「この研究会の目的は、指導法というより教師づくりなんや。」
「国語科の授業をするだけではなくて、国語科を通して学級を作っていく。」
「いつも子どもたちと未来を向いて学習していく。」

 研究会や懇親会で、何気なく放たれる、これら数々の言葉に私は勇気づけられ、心が奮い立たせられた。これまで、国語科の研究を通して、指導力と人間力を磨き続けてこられた諸先輩方の言葉に、情熱をも凌駕する、魂の揺さぶりを感じた。本研究のテーマは「教師の力をつける」であったが、実践発表だけでなく、多くの先生方と言葉を交わすことそのものが、わたしの力、エネルギーとなっていた。「主体的・対話的で深い学び」の主語は、「子ども」であると同時に「教師」でなければならない。教師自身が「主体性をもつ」「他者と積極的に対話する」「深く感じ取る」ことで、よりよい実践やアイディアが生まれてくるのだろう。神戸での主体的な教師集団との出会いによって、その思いは確信に変わった。言葉には人を変える力があるということ、人を勇気づけることができるということ、その気づきを教室の子どもたちに還元したい、そんな思いでいっぱいだ。教師は子どもによっても磨かれるが、同じ志をもつ教師によっても磨かれるのだということを実感した一日であった。神戸の地にて、「深イイ出会い」ができたことに感謝したい。
(甲賀市立伴谷東小)