自ら求める交流と学びを自覚する振り返りの在り方
谷 口 映 介

 「交流」は学習の中でよく使われる言葉である。互いの意思や・感情・思考を伝達し合うことを目的に日々行われている。だが、多くの場合、結果のみを伝えるだけで、なかなか必然性が生み出されないという課題がある。そこで、子どもにとっての「必然性のある交流」とその振り返りの在り方について考えたい。

【思考過程の交流】
 子どもが自ら交流したいと思う時、そこには少なからず「困り感」がある。ここで言う困り感とは、「自分で考えてみたけれど、もう少し分からないところがある。だから、他の友達の考えを聞いてみたい。」「自分は、この文が一番心に強く残ったけれど、他の友達はどう思っているのだろう。」「自分は、表にしてまとめているけれど、これでよいのだろうか。」などの迷いや追究への意欲のことを指す。これらの解決を目指すとき、必然性が子ども達の中に生まれるのではないだろうか。これは、完成したポスターを交流するなどとは、質的に大きく異なる。「思考過程(考えを形成する真っ最中)の交流」が主体性の発揮に有効である。

【交流を促す手立て】
〇順位を付ける
 例えば、「最も心に強く残った一文とその理由」を伝え合うことで、友達との捉えの差(ズレ)が明らかになり、自分の考えが広がったり、深まったりするきっかけとなる。2番、3番についても紹介すると、複数の叙述から考えることができる。
〇グループ編成の工夫
 ◎同じ・・・叙述/まとめ方/本、テーマ(学習課題)、学習方法(表、図式化等)
◎違う・・・上と同じ
 規模は3〜4人が適当である。交流の目的に応じて使い分けたい。意識させておきたいのは、「何のために交流するのか」「交流によって何が明らかになるのか」ということである。

【学習の振り返り】
 学びの自覚は次への学習の土台となる。高学年では、次の観点を示し、200〜300字程度で単元の最後に各自がまとめている。
 ☆この学習で身に付いた力は何か・できるようになったこと
 ☆分かったこと ☆疑問に思ったこと ☆考えが変わったこと
 ☆楽しかったこと・よかったこと ☆感じた・考えた・思ったこと
 ☆もっと勉強したいこと ☆今後の学習に生かしたいこと
 「今日の学びは〇点」と点数化し、その理由を書く方法も有効である。学習方法は、常に学級に掲示し、次の単元(他教科にも)生かせるようにしておく。学習の引き出しを使いこなせる子を育てたい。
(滋賀大学教育学部附属小)