▼教材研究をする方法の一つに「鉛筆読み」をすすめたい。教材文を目で追う読みではなく、鉛筆を持って文章を読み、気がついたことを書き加える読みである。「ちいちゃんのかげおり」(三年)であれば、次のように読み進める。

▼「出征する前の日」という文字がいきなり飛び込んでくる。「兵隊になって軍隊に入り、戦に行くこと」という意味は理解できる。が、立ち止まって考えるために鉛筆で、「出征」と書いてみる。挿絵から、小さい子ども二人とお母さんの四人家族ということは分かる。が、明日は戦争にいくお父さんの覚悟のようなものを読みとるために。戦争に行くとは、生きて帰ることは考えられない時代。家族と暮らす最後の日。それが、「前の日」という表現なっている。

▼「鉛筆読み」では、気になったことや言葉に線を引く。また、新出漢字やわからない言葉を押さえるという活動。更に、文を写す(視写)という活動もある。これらの活動に共通しているのは、想像をし、言葉を関連づけていることである。

▼教材を読むというのは教材研究の始まりである。しかし、あらすじが理解できた、発問がわかったというだけでは、授業に対する勢いが生まれてこない。

▼授業で文や文章、語句に立ちどまり、問いを求める学習に導くのが「鉛筆読み」なのである。(吉永幸司)