日常を十七音で 〜学級で句会を開こう〜
北 川 雅 士

 今年の夏も国語力アップセミナーに参加をした。この研修は、毎年県内の先生が講師となり、日々の実践から子どもが興味をもつ授業のネタを教えていただく形になっている。今年度も様々な実践を紹介していただいたが、その中で学級で俳句の会を開いて交流するという実践があった。
 4月から何度か学習で俳句に取り組んできたものの、なかなか俳句への意欲が高まらないため、この実践を参考に、学習に取り組んでみることにした。

 教材は「日常を十七音で」(光村図書5年)、導入で「どのような形で交流をしたいか」とたずねると、数人から「全員の作品を知りたい」という言葉が出た。そこで「学級みんなの作品で俳句の会を開いてみる?」と聞くと「やってみたい」「おもしろそう」と賛成の声が多かったため、『学級で俳句の会を開く』ということで作品作りを進めることになった。学習計画は以下の通り。

『学級で俳句の会を開こう』(全4時間)
 (1) 学習計画をたてる。 俳句の題材になりそうな事をノートに文章で書く。
 (2) 文章を俳句にする。
 (3) 教科書の項目を参考に、俳句の表現を工夫する。俳句を清書する。(家庭学習)
 (4) 俳句の会を開く。

 学習の最後に「五年一組俳句の会」を開いた。家庭学習で清書した短冊をもとに、作者を伏せた学級全員の俳句と担任の俳句を加えた作品を読み比べて、1人3点お気に入りを選んだ。これまでは、4人までのグループでしか交流をしていなかったこともあり、全員の作品を前に子供たちは夢中になって作品を読んでいた。お気に入りを選んだあとは、それぞれの作品で、表現の良さや、工夫されている点についても交流を行った。

 学習後の振り返りを読むと「みんな工夫がしてあってすごい」「季語は出てくるけどそれをどう表現するかが難しい」「今回の俳句の学習は自分から俳句が作りたいと思えた」といった内容が見られたことに加え、「楽しかった」という言葉が多かった。学習を通じてこれまでの俳句の学習とは違った成果を感じていることが分かった。

 今回の学習を通して、これまでの「季節の言葉」で俳句を作る際には、自分の思いや、生活の中での出来事よりも〈一般的な季節を感じるもの〉に重点を置いていたため子供達にはどこか主体的に自分の感じ方を表現しにくい部分があったのではないかと感じた。今回の俳句作りでは、自分の日常で感じた事、気づいたことを起点に俳句作りを行ったが、これまでの学習よりも子供らしい感性で詠まれた作品が数多く見られた。指導目標を大事にしながらも、子供が意欲的に学べる学習の取り組み方をまだまだ追及していきたい。
(彦根市立城南小)