▼多くの子ども達は3年生で国語辞典の使い方を学習する。教科書では、実際の国語辞典を紹介し、「見出し語・漢字での書き表し方・言葉の意味・言葉の使い方」と解説をしている。更に、促音や濁音が入った言葉の調べ方、カタカナの語句など引き方を示している。3ページにわたって、初めて国語辞典を学ぶ子ども達への丁寧な導きである。

▼学習指導要領には「表現したり理解したりするために必要な文字や語句について,辞書を利用して調べる方法を理解し,調べる習慣を付けること。」と示している。最初は興味を持って言葉を調べるが、それほど国語辞典を活用せず、本棚の奥に眠っていることも多い。「調べる習慣を付ける」ことである筈だが。

▼かつて、4年生を担任した時、国語辞典活用の指導に力を注いだことがあった。調べた語句には赤鉛筆で印をつけ、調べた履歴を残しながら、国語辞典を早く引く、語彙に関心を持たせることを目的にした。その結果、国語だけでなく、社会科や理科の時間、新聞を読んでいる時などにも広がった。意欲も高まり、4年生の修了時にはどの子も、数秒で知りたい語句が引ける子になっていた。

▼この経験を生かし、現代流にアレンジし、ペアで国語辞典を活用することを提案している。方法は簡単。最初、1人の子が、「学校」のように誰もが知っている言葉の意味を質問する。その質問に相手の子が、国語辞典に書いているだろうことを予想して、意味を答える。2人が、「学校」の意味を確認しながら国語辞典を読む。問題を出す役を交代して、同じことを繰り返す。

▼最初は簡単であるが、続けていくと、難しい言葉を出し合い、速さや正確さに心が向く。朝の時間、授業の始まりの数分を、国語辞典の活用に充てる学習形態に人気があるという報告を聞いている。(吉永幸司)