第45回国語研究集団合同研究会
蜂 屋 正 雄

 今年は事務局ということで、裏方で参加をさせていただいた。今年も学び多き研究会となった。

 東風の会中川洋先生の実践は、1年生の「大きなかぶ」。音読が子どもの発達に有効であることを脳科学的な視点と、そのための技術・スキルとしての発音や口形を徹底させることが、その後の学習に有効であることを教えていただいた。
 大きなかぶでの中心となる言語活動は音読劇。「うんとこしょ、どっこいしょ」の言い方をどう変えていくかを考えさせることやナレーションのせりふが一番多いことと劇化のバランスを考えることが議論の中心となった。語彙の指導としては、物語の中にちりばめられた「けれども」「それでも」「やっぱり」「まだまだ」「なかなか」「とうとう」をどう読ませるかを子どもたちにかえしておられた、また、「かぶを育てるのは簡単か?」「抜けたときのおじいさんの気持ち」の場面を読んでいて不思議に思ったことを「ペアトーク」と言う形で読み深めたりされていた。また、研究会の中では、劇が誰に向けて表現されていたのか、評価カードのあり方などについて、議論があり学ばせていただいた。

 さざなみ国語教室の谷口映介先生は、5年生の「きいてきいてきいてみよう」の実践。インタビューの訊く、インタビューの内容を聴く、インタビューのやりとりを聞く、の三つのきくをそれぞれの立場で自分を振り返りながらの実践。単元を通して、やってみたい、やってみなければと思わせる展開を工夫されており、谷口先生の言葉では「必然性のある学びをさせたい」という言葉で表現されていたが、子どもに主体性をどう持たせるかということに腐心された学習展開だった。なにも指示をせずにまずインタビューをさせて、「うまくいかない」と言う実感を持たせたり、インタビューの失敗例を示したりする中で子どもたちが「どうしたらいいインタビューになるのか」を考える過程を大切にされていた実践に学ばせていただいた。

 竹の会、辰巳喜之先生は1年生の「ずっとずうっとだいすきだよ」の実践。竹の会の実践で毎回、基礎におかれているのが「ひとり勉強」。自分で基本的な学習や自分の考えを持つための時間として大切にされている。1年生においても少しずつステップアップを図りながら、3学期のこの時期にはひとり勉強が成立するように学級を経営されている。今回は、ひとり勉強に加えて、そこで持った自分の考えを交流することに力点を置いた実践。研究会でもそのひとり勉強までの過程を質問される場面があった。また、主人公の「やさしさ」がいろんな表現でかかれているが、それを「やさしい」という言葉でまとめた方がよいのか、広げた方がよいのかということが議論になっていた。

 研究会の最後に、川端建治先生に今回の実践報告とこれからの国語教育についてご講義いただいた。今回の指導要領改訂に至る背景や特色、そして、今回の改訂を機に変えていくべきものと変えずにがんばるべきものを明確に示していただいた。各研究会で大切にしているものの違いを今回も実感しながら、少しでもよい実践ができるようにと、いい機会をいただいた。
(草津市立矢倉小)