目指せ敬語の達人! 〜敬語を適切に使って話そう〜
谷 口 映 介

 「敬語を使うことは大切である。」意識の上では使おうと思っていても、実際には使い方が分からない。そんな子ども達の様子を見ていると、学校教育の場で意図的に敬語を扱い、社会の一員として敬語を適切に使える力を付けることは大変重要である。そこで、今回は、敬語の意味と使うことの意義を教えると共に、敬語を使った会話のやり取りを練習したり、適切な敬語表現に直したりする活動を取り入れた。

【場面を比べる】
 教科書の挿絵の会話部分を隠し、吹き出しに入る言葉を考えさせた。どちらも、「待って欲しい」と伝える場面である。子ども達は口々に、「友達には、少し待ってねと言います。」「目上の人には少々お待ちくださいと言います。」「お待ちいただけますかという言い方もあるよ。」と自分の経験を基に話し出した。そこで、敬語には相手に応じて丁寧語・尊敬語・謙譲語の3つの種類があることをまとめた。

【モデルを示す→ロールプレイ】
(A:お隣の谷口さん、B:あなた)
A「お母さんは、いらっしゃいますか。」
B「すみません。母は今、出かけております。」
A「そうですか。お菓子のおすそわけです。お母さんにお渡しください。」
B「ありがとうございます。谷口さんからいただいたと母に伝えておきます。」
 役割を変えながらペアで何回も練習した。教室の扉を玄関に見立て、動きながら練習すると、照れ ながらも何回も練習していた。この他、校長先生に尋ねに行く時など、場面に応じて使えるように練 習をした。

【敬語の会話に直す】
 慣れてきたところで間違った文を示し、正しい敬語に直す活動をした。
A「お母さんはおられますか。」
B「お母さん、いるよ。ちょっと待ってね。」
B「お母さんは今いらっしゃいません。何の用ですか。」
 この文を見て、「身内にいらっしゃいませんは変です。おりませんが正しいです。」「お母さんではなくて、母と言わないと。」「お客さんに、待ってねは失礼です。」と指摘し出した。ここで伝えたのは、「おられますか」は正しい敬語ではないということである。子どもたちは、よく使う敬語だと思い込んでいたので、一様に驚いていた。関西地方では広く認知されているが「おる(謙譲語)+られる(尊敬語)」は共通語ではない。学習後、「相手に失礼のないように敬語を正しく使いたい。」「場面に応じて使い分けたい。」という感想が多く、敬語への意識が高まった。
(滋賀大学教育学部附属小)