わたしたちのノートづくり
弓 削 裕 之

 教師が発問をし、子どもたちが意見を発表する。発表された意見を教師が板書し、それを子どもたちがノートに写す。そんな1時間の授業で出来上がったノートは、「先生とつくったノート」。教師から与えられた題材の中から、自分で課題を見つける。必要な用語や資料を取捨選択し、自分なりのやり方でノートに書きまとめていく。そんな1時間の授業で出来上がったノートは、「一人でつくったノート」。
 京女にとって、ノートは宝物だ。ノートを通じて、もっともっと子どもたちがつながる授業ができないか。提案するのは、小グループで協力してノートづくりをする活動である。5年生社会科において実践した。

(1) 導入(5分)
  日付・題名・めあてをノートに書き写し、板書された学習の流れを確認する。
(2) 展開1(5分)
  キーワードを見つけ、教科書に線を引く。
(3) 展開2(20分)
  グループでどのようにしてノートにまとめるか相談し、書き始める。
(4) 展開3(5分)
  自分なりの工夫を加え、ノートを完成させる。
(5) まとめ(10分)
  机の上に開いて置かれた友達のノートを歩いて見て回った後、自分の席に戻って学習の感想を書く。

 相談が上手くいったグループは、順番を決め、一人ひとりの意見を聞きながら書く内容を決めていた。書くのが遅れている友達を気遣い、「大丈夫、大丈夫」と声をかけたり、ノートを見せてあげたりする姿も見られた。ノートがなかなか進まなかったグループは、それぞれが自分の思うように書きたいという気持ちが強く、友達の考えを受け入れていなかった。ノートはきれいにまとまっていても、誰か一人のアイデアを他の子がただ写しているだけのグループもあった。「三人寄れば・・・」と言うが、一人でノートをつくるより、複数人で同じノートをつくる方がよほど難しい作業なのだと知った。
 回を重ねるうちに少しずつ実態が見えてきたので、相談が上手くいったグループのやり方を全体に紹介し、必ずノートに全員の意見が反映されることを約束事とした。また、展開3を省き、グループで一つのまとめの文を考えて発表する活動を取り入れた。そうすることで、黒板に子どもたちの考えを残すことができた。
 学習の感想から、ノートが「わたしたちのもの」になったことを感じた。

◆今日は班でノートづくりをしました。班で活動したので、個人で活動をしている時には思いつかないような案が出ました。班で題名を考えたり、文章を工夫するのは難しかったけれど、いろんな案が出て1班なりのノートづくりができてよかったです。
(京都女子大附属小)