「しりょうを読む」ってどういうこと?
西 村 嘉 人

 初任者研修の指導時間に、3年生の授業を週に4時間担当している。教科の入り授業と違い、クラスの週の学習予定に合わせて様々な教科の学習を3年生の子たちと楽しんでいる。

 先日、国語科の新しい単元の導入の時間を担当した。「しりょうから分かる、小学生のこと」(光村3下)である。とりあえず教科書を見て1時間の指導内容を思い描く。
 ・単元のねらいを知らせること
 ・単元の学習活動の流れを知らせること
 ・資料を読む練習をすること、の3点を決め、授業を進めた。
 黒板に、
「しりょうから分かったことを、すじ道立てて話そう『しりょうから分かる、小学生のこと』」 と書き、
「資料って何か、教科書の文章のなかから見つけてごらん。」
と指示した。いきなり「自分で読んで見つけなさい」と言われて子どもたちは戸惑いながらも、
「グラフや写真、絵のこと。」
と文章中の言葉を見つけて答える。
「そう、その資料から分かったことをすじ道立てて話すことがこれから勉強することです。」
と続けて、
「すじ道立てて、って分かる?」
と、問いを続ける。
「分かりやすく話すこと。」
「順番に話すこと。」
「作文みたいにはじめ・中・終わりを考えて話すこと。」
とこれまでの学習経験から「すじ道立てて」の言葉の解釈を試みる子どもたち。
「それじゃあ、教科書に『しりょうを読む』って書いてあるでしょう。みんなが今まで国語の勉強で読んできたのは文章だよね。グラフや写真、絵などの資料を読むってどういうことだと思う。」 
と、また、尋ねる。しばらくの沈黙とペアの子との話し合い後、「グラフや写真や絵から分かることを見つけること」と子どもたちが発言をつなぎながら考えをまとめてきた。

 学力調査などで見えてきた本校の子どもたちの「弱み」である、非連続な資料の読み取り。その第1時間目だけに、「資料を読む」の意味を子どもたちに理解させようと教師が一切説明せずに子どもたちに考えさせてみた。この後、グループで例示したグラフを読む学習を続けたが、グラフのタイトルや目盛り、数字などを一つ一つ丁寧に読み取り、出し合っていくことができた。続きの展開が楽しみになってきた。
(彦根市立高宮小)