今一度「どの子も参加し,わかる,できる授業づくり」
杉 澤 周 一

 かつて人権教育を進める上で,どの子も参加し,わかる,できる,授業により学力を保障したいというスタンスがあった。「人授研」が本校に巡り,授業を公開することになり,私と複数の若手がそのスタンスで授業を練り実践した。

 4年「言葉をつなげて」(東京書籍)を教材に連詩をつくる。
【単元名】「人をつなげて言葉をつなげて」
【単元目標】言葉から想像を広げて友だちと連詩をつくることができる。
【指導計画】
 @教科書教材で連詩を読む。
 A個々に詩をつくる。
 Bグループで一行連詩をつくる。
 Cグループで二行連詩をつくる。
 Dグループで連詩をつくる。
 E連詩鑑賞会で発表し合う。

 練り工夫したことは次のとおり。@詩をつくることに抵抗をなくすため,「おれはかまきり」工藤直子を読ませて,まず「なりきり」で書くと楽しいことを学ばせた。他の詩からも,くり返し,擬態語,擬声語などの工夫やリズムを学ばせ、Aの創作につないだ。真似により易しく楽しく書くことができた。B型を設定し,それにあてはめ各自が次のどれか一行だけを書いてグループでつなぐ。あっちで…という一行目につなぎ,こっちで…そっちで…むこうで…,五行目は相談してまとめの言葉という五行詩。題材は給食など学校生活。@A時の学びを活かし,子ども達は流れるように学習しとても弾んだ。C共通テーマは春夏秋冬の四連+まとめの一連,各連とも二行目を擬態語や擬声語とすることが条件。どの子も思いつきやすい題材,書きやすい型,二行目が書きやすい,自ずとリズムを持たせるのがねらい。 これら,単元を通して特別支援教育のスモールステップを念頭に,前時を次時につなぎ,どの子も簡単に書けることを目指した工夫。

 単元名に「人につなげて」を入れた。連詩だから,どの子も成員として活動し,支え合いは必然である。前の人の工夫をつなごう,全体で統一した感じを出そう,最後のまとめを相談して皆の決めの言葉をなどと協働で学び合う学習経験が単元を貫く。支え合い学び合いは,「どの子も参加し,わかる,できる授業」に必要では。指導者はそれも意識して机間指導を。日頃,なかなか授業に乗らない課題のある児童が,当初はいつものように授業に距離を置いていた。が,A,B時の途中から目が輝き,グループの中で同じように言葉を選んで書き話していた。参加し,わかる,できる評価のバロメーターか。何をするかがわかり,できそうだと思ったそうだ。子どもたちが弾んでいた。ノートの言葉も。
 若い先生たちも弾んでいた。
(東近江市立八日市西小)