▼学習指導要領の改訂に向け、中央教育審議会がまとめた「教育課程企画特別部会論点整理」では実社会とつながった学びが強調されている。その中で、これからの時代に求められる資質・能力として「他者と一緒に生き、課題を解決していくための力」をあげている。

▼授業は何より楽しいものでなければならない。楽しい授業とは、自分の成長が実感できることである。実感は「次もやりたい」「そうだったのか」という言葉を生みだし安定をする。「他者と一緒に生きる」の始まりは,学級の友達との暮らしと考えると学校生活の意味も明確になる。

▼これらのことを国語教育と繋ぐと「言葉の力」に光があたる。体操や柔道、水泳や卓球の選手が活躍したオリンピックで感じたことは小さい頃からの鍛え方である。運動選手が身体を鍛えるように、言葉を鍛える国語科授業を考えてみる。「言葉の筋力」を育てることを意識した授業の展開である。

▼言葉の筋力を鍛えるには読書が一番であろう。かつて、言葉ノートを増やすという活動を継続して1年間行ったことがある。日替わり当番を決め、自分が読んでいる本や新聞から見つけた言葉や紹介したいという語や文を、当番が登校したとき、黒板に書く。子ども達の朝遊びは黒板を写してからという約束。一人ではできないことも友達の力に支えられて言葉の筋力を鍛えた活動であった。

▼実社会につながるかどうかは定かでないが基礎力を育てる学習活動を拓きたい。(吉永幸司)