第44回国語研究集団合同研究会から
「読書生活の指導」考
森 邦 博

 今年の国語研究集団合同研究会で蜂屋さんは、「ミニビブリオバトル」を単元の学習過程に位置付けた読むこと(読書)の指導について実践提案をされた。この提案からは、子どもの「読書生活」を育てる学校の取組を作っていくうえで、大切なことを学ぶことができたと考える。
 それは次の2点である。
・共同・協同の取組の大切さ
・柔軟で計画的・継続的な取組の大切さ

1、共同・協同の取組で
 蜂屋提案では単元の導入で、担任を含む4名の先生が児童の前でビブリオバトルを行っている。4名の中には、校長先生の名前もある。学校の読書生活指導への本気度が伝わってくる。
 読書生活が当たり前になることをゴールイメージとするならば、1学級の実践にとどめずに、学年、学年部へ、そして校務分掌組織の学校図書館部会の取組へと、学校の共同・協同の実践へと育て広げていくことが大切になってくると考えるからである。学校の本気度は家庭へ・地域へ浸透していくだろう。もちろんその視野の中には公共図書館との連携、市内の学校間の連携も入ってくるだろう。

2、計画的・継続的な取組で
 蜂屋提案から学んだ2つ目は、1学期の学習経験を生かして2学期には、子どもたちが中心のビブリオバトルを行うという見通しの下に、年間の指導計画で取り組んでいるという点である。
 1学期と2学期の実践が点でなく、線で結ばれている。息の長い取り組みを通じて、子どもたちの読書の実態を少しずつ変えていこうという、その本気度に敬服する。
 本気にならなければ、なかなか読書生活を育てることは難しい。 線で結ばれる実践計画の意味は重い。

 読書生活を育てるには、本気と継続が力になると思う。1か月より、1年間、さらに小学校6か年の読書体験の積み上げが大事だとも思う。
 その中で見られる子どもの読書生活の変化や、学校・家庭での工夫を共に分かち合い交流しながら柔軟に、しかも息長く継続していくことを目指していくことが大切だと考える。
 大村はま先生は、読書記録を生徒たちに取らせるという実践をされた。その目的には「読みたい本」を一人一人の生徒に持たせるという願いがあったという。読みたい本があるという生徒の読書生活を未来形で育てようという読書の指導の幅の広がりである。
 ビブリオバトルの実践提案も未来形の実践という意味でつながっていると思うのである。今後に期待している。
(京都女子大学非常勤講師)