▼『月刊国語教育研究』(日本国語教育学会編)8月号は次の作文を紹介している。「自然の水はゼロ円なのに、水道水はなぜ、お金を払わないといけないのかという疑問を持っていました。今回、摺上浄水場に見学に行き少し理由がわかりました。もし、(水が)でてこなくなったら人々はどうするのか、…人々が困らないようにと心からねがっています」(小4)この文章について、浜本純逸先生の考察に学ぶことが多い。先ず、最初の「なぜ」に着目し、自ら問題を見い出し、課題を持って浄水場を見学した。まさにアクティブ・ラーニングの先端を行く学習をしていると評しておられる。

▼アクティブ・ラーニングというと、課題を解決するということで納得をしているが、「なぜ」を自らに問いかけるというように考えると分かりやすい。次に「もし」については、仮定と推論の思考法は小学校中学年から身につけさせたいという考えをのべておられる。「もし、水がでてこなくなったら」という思考は意識して指導をすれば、かなりの学習場面が思い浮かぶ。

▼中学年の文章は多くの場合「思いました」がやたらと多い。「思う」の類語には「驚く、念願する、ねがっている、決意する、志す」などがある。

▼よく似た意味だが微妙に感じ方が違ってくる。短い文章であるが視点を定めると大人にとっても深い学びにつながる。(吉永幸司)