▼「新しい国語実践」の研究会のシンポジウムで司会をさせて頂くことになった。最近では小学校1年生の授業でも司会者がいる時代である。それほど緊張する必要もないのであろう。が、引き受けた時からいつも何かを抱えているような気分だった。

▼シンポジウムの語義は「1つの問題について何人かが異なる面から意見を述べ合い、質疑応答をくりかえす形の討論会」である。司会の役割は質疑応答を繰り返すにある。登壇者の意見と会場をつなぐとともに、テーマを深めるという役割がある。

▼司会ではないが、印象に残っているものに、倉澤栄吉先生と大村はま先生の対談がある。千人を超える会場には広いステージがあった。お2人は、左右に向かい合って座られた。最初にお話をされたのが倉澤先生である。大村はま先生のご紹介ではあるが、テーマに沿って分かりやすいお話をされた。その間、大村先生は、カードを選び並べ替えておられた。大村先生の手が止まるのをみて、「大村さん、どうでしょうね。」と、発言を求められた。大村先生は、単元についてのお考えを述べられた。お2人で、1つの講演をなさったような対談であった。

▼倉澤先生は、大村先生の発言を求めるタイミングを見計り会場の雰囲気を作られておられるようにみえた。

▼司会の最中に、ふっとその対談を思い出した(吉永幸司)