第20回「新しい国語実践」の研究会 滋賀大会
滋賀大会の意味を振り返る
森  邦 博

 12月26日(土)・27日(日)に開催した第20回「新しい国語実践」の研究会・滋賀大会は、テーマに「主体的な言語活動を通じて学び合う国語教室の創造」を掲げて開催した。同じテーマで8月にさざなみ国語教室が主催して開催した、「新しい国語の授業」研究会に連なるものである。
 言語活動を通じて言葉の力を育てるのが国語の授業。そのためには、子ども一人一人が主体的に学習活動すなわち言語活動に取り組むことが必要であると考えるのである。
 しかし、主体的な言語活動(=学習)と一口に言っても、その様相はさまざまである。たとえやらされて始めた言語活動であっても、何時間かの積み重ねを通じて向上していることを実感できると、子どもは自ら変わっていく。だから子どもが感じている「学習のやりにくさ」に気づき、その把握に努め、それに応じた適切な指導・助言等の手立てを打つ時間を生み出し実行しようとする教師でありたいとも思う。

 夏の研究会の提案者である箕浦さんのY児の姿の変容に関する実践記録で箕浦さんは、Y児から学習のやりにくさについて聞く時間を持ち、できていることを見つけ、褒めて励まし、支えることを大切にされた。  先生の個別的な支えによりY児が自分なりに学習のめあてを持つことができたことがうかがえ、主体的な学び手を育てるための筋道を一つ教えられたのだった。では、他にもないか…。
 大村はま先生のおっしゃる「『優劣のかなた』で『学びひたる』子どもの姿がある国語の授業への道を、本大会での研究協議でさらに深めることができればうれしい」。これが私にとっての本大会の研究協議テーマによせた思いである。否、20回の歩みを重ねてきたこの「『新しい国語実践』の研究会」に参加するときにつねに期待してきた思いでもある。

 本研究会では、これまでも子どもの学習での姿を交流して意見を出し合うことを通して、どのようにすれば国語の授業が本物の学びの場として充実したものにしていけるのかを、具体的な実践をめぐって真剣に協議してきたと考える。
 そこで今回は、そのキーワードとして、「学び合う」と「国語教室の創造」を設定した。
 国語の授業での子どもの姿が主体的な言語活動(「話す・聞く、書く、読む」という国語の学習活動のすべて)の姿となるような指導上の工夫と配慮があれば、子ども相互の学び合いは意味深いものになり、育ち合う国語教室の実現が期待できるであろう。
 また、教室が子どもの学び合う意欲や態度、習慣を育てる場となるような工夫や配慮、そして計画的で継続的で系統的な国語教室づくりの営みの経過があればこそ、主体的に言語活動に向かい、学び合う姿のある国語の授業は実現できるのではないか。4つの分科会・全大会を通じて深めたい。こういう願いを込めている。

 北海道から九州までの広い地域から多数の実践者にご参加いただけたこととともに、滋賀県実行委員の諸先生方にはご多用な中ご協力いただけたことについて、深甚からの感謝を申し上げたい。準備が不十分なところがありご不便をおかけした方々には深くお詫び申し上げます。
 なお、当日開催された全国理事会では、本研究会を今後も継続して開催していくことの意義が確認され、準備会を持つことが共通理解された。
 近々その会合が開催されることを報告して、研究会実行委員会事務局としてのお礼としたい。
(京都女子大学非常勤講師)