第20回「新しい国語実践」の研究会 滋賀大会
講演から学んだこと
箕 浦 健 司

 昨年12月26・27日の研究大会に実行委員として参加した。大会2日目に、文部科学省初等中等教育局教育課程課の水戸部修治教科調査官の講演があった。演題は「課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学びを実現する国語科の授業づくり」。講演を聞き、感じたことを以下に記す。

(1) 当該単元で育成したい国語の資質・能力の明確化
 習得・活用・探究という学習プロセスの中で問題発見・解決を念頭に置いた深い学びの過程を実現する。簡単に言えば、当該単元で付けたい力を教材・児童の実態を踏まえて明確化し、ねらいに応じた特徴を持つ言語活動を行うということである。このことは、何も新しい話ではなく、我々教師がずっと行ってきたことである。教材研究・単元構想の具体的な視点を与えていただいたということか。設定した言語活動が、付けたい力を育むものであるかはもちろん、考え得るベストな活動であるのか。「アクティブ・ラーンニング」を念頭に置いた、日々の研鑽を求める訓示であると意識しながら傾聴した。

(2) 学習課題の工夫、単元導入の工夫
 他者との協働や外界との相互作用を通じて、自らの考えを深め広げる、対話的学びの過程を実現する。個の学びを深めるにも、それぞれの学びを交流するにも、まずは子どもたち一人ひとりに学びの目的性・必然性があるかということが重要になってくる。当然、子どもたちにとって追求する価値があるよう、学習課題を工夫する必要がある。このお話を伺いあらためて認識したことは、単元導入の時間の持ち方の重要性である。いくら値打ちのある学習であっても、最初の出会いが受動的なものでは、その後の学習活動は作業になってしまう。子どもたちの「知りたい」「調べたい」「伝えたい」という意欲が沸き出し、目を輝かせて主体的に取り組めるような導入の展開。教材との出会わせ方の工夫。普段の同人との語らいのなかでも話題に上がることであり、その重要性を再認識することができた。

(3) 主体的に学習に取り組む態度の評価の工夫
 我々教師は、子どもたちの学習活動を評価する義務がある。そして、「指導と評価の一体化」は、我々が常に意識・実践すべきことである。主体的な学びの場を設定し、より一人ひとりの学びの態度を確実に評価するためには。ここでいう工夫とは、子どもたちの「大好き」「お気に入り」「知りたい」「伝えたい」を発揮できる場を保障するということであった。それは、課題発見・探究・表現の場を単元の中に保障するということはもちろん、子どもたち一人ひとりが単元の見通しをもてること、交流の場を充実させることなどが重要になってくると考える。答えを明らかにできた子どもだけが自信を持って話すだけでなく、「ちょっと不安なんだけど」「ねえねえ、聞いて」このようなやりとりが活発に、自然に行えるような教室であれば、子どもたち一人ひとりの学びの態度も必然的に見えやすくなってくると言えるだろう。

   このように見てくると、あらゆることがつながって、初めて子どもたちの豊かな学びが実現するということが分かる。単元構想や付けたい力の明確化のみならず、誰もが安心して学べる教室経営、すなわち学級経営。教師の深い児童理解。初心に返り、日々研鑽を積む意欲のわく講演会であった。
(長浜市立神照小)