第20回「新しい国語実践」の研究会 滋賀大会
提  案
蜂 屋 正 雄

 今回、書くことの分科会で提案させていただく機会を得た。先月号でこの誌面で紹介させていただいた、「児童が新しい視点を活用して『ちょっと工夫のある物語を書く』ことの研究」というテーマで提案を行った。単元全体の目標として、
○ 物語づくりを通して、大切にしていることや考えていることを表現する。
○ 交流活動を通して、お互いのものの考え方を知り合う。
ということを意識して、学習展開を進めたもの。

 会場からは、交流会の進め方や交流を通して子どもたちがどう変わったか、といった質問をいただいた。また、「海のいのち」という教材を物語の構造を学ぶ学習として、つまり、書くことをステップアップするために読むことの教材を使ったことへの是非を話題にしていただいた。私としては、「海のいのち」を読むことと、物語を書くことの両方を今回の方法で実現したつもりであるが、読むことでいう「良さを味わう」「表現やその表現に気づいた子どもを価値づける」といった過程は設けていないため、その点に不足感を感じられての質問があった。

 また、助言や司会の先生、また、会場の先生からは、
○書くことについて、「この言語事項を身につけさせる」といった具体的な姿が設定されておらず、書くことの提案としては物足りない。
○「海のいのち」は読むこととして学習し、再読という形で取り扱い、「題名」「書き出し」「登場人物」「あらすじ」「山場」「おしまい」「主題」という視点があっても良かったのではないか。
○書くことについて、この学習を通じて子どもの意欲をどう高めるかというビジョンが明確でなかったのではないか。
○教師が書くことのモデルを提示したのは良かったが、そのタイミングはもう少し工夫があっても良かったのではないか。
といったアドバイスをいただいた。

 子どもの現状をふまえての単元構成や書くことを楽しめる展開ということは評価いただいた。また、きれいな字で書くことの大切さも感じさせられた点も評価いただいた。「生き方教育としての書くことの学習」を目指してほしいとのお言葉を胸に、今後も自分の思いを言葉にしていく学習を進めていきたい。
(草津市立矢倉小)