巻頭言
話す力・聞く力をつけるための一試案
奥 田 恵 子

 子どもたちに「話す力、聞く力」を身に付けさせ、各教科や日常生活の中に生かそうという試みを、三年間行ってきた。授業では、身に付けたい力を明確にし、授業の組み立てを工夫した。

 第一次では、子どもたちの話したい、聞きたい思いを大切にした話題を取りあげた。二年生では、「誕生!地球を救うグアナコ」の図工単元を国語の話す・聞く単元と結びつけて授業を仕組んだ。「グアナコ」の言葉の響きと「地球を救う」の条件に子どもたちは大いに盛り上がった。

 第二次では、取り上げた話題をもとに、伝える内容をふくらませる場、話し方や聞き方についての考えを交流する場、話したり聞いたりする活動を位置づけた授業の組み立てを工夫した。前述の授業では、自分の作品を友達に紹介する場を設けた。「いつ」「どこ」「どうして」等の質問カードを使ってペアトークをした。また、「自分と比較して聞く」「質問の答えをつなげて聞く」「感想を言ってから聞く」カードも組み合わせてペアトークをした。始めに、教師と子どもでモデルトークをした後、隣席の子とペアトークをした。次に、代表のペアが学級全体にトークを聞いてもらい、アドバイスをもらう。さらに、代表のよいところを取り入れて、ペアで練習する。このように、三回練習した結果、声の大きさ、間、指を指して説明するなどの工夫をすることができた。さらに、同じ授業を経験した三年生に聞き役になってもらい、自分の作品を紹介した。繰り返し作品紹介をすることで、適切な言葉を選んで具体的に説明できるようになった。

 第三次では、単元をふり返る場を設定した。授業で分かったこと、できるようになったことを書いた。よい話し方、聞き方が分かったためか、国語以外の授業でも、自信をもって話したり、聞いたりする姿が見られるようになった。

 日常生活でも、丁寧な分かりやすい話し方が目にとまれば、その場で言い方の良さをほめた。多くの子が模倣するようになり、私自身子どもたちの素敵さを味わっている。
(愛知県刈谷市立富士松東小学校教諭)