第19回「新しい国語実践」の研究会新潟大会 分科会報告
弓 削 裕 之

 身も心も引き締まる新潟の地で、「ノートを用いた読みと感想を交流し合う活動〜友だちとともに確かな読みを作り出す子どもを育てる〜」と題し、説明的文章を扱った「読むこと」の実践について提案する機会をいただいた。単元名は「読んで考えたことを書こう」教材名は「どうぶつ園のじゅうい」である。
 大会テーマである「心が通い言葉が響き合う国語教室の創造」は、言葉を介したコミュニケ―ションを大切にするという点で、本校の研究主題「相手を気遣い合って行動できる子どもを育てる」と密接なつながりがある。全校をあげて九年間積み上げたノート指導が基盤となることを理由に、ノートを用いた交流活動が本校の児童にとって最も望ましいコミュニケーション活動であると考えた。
 本単元では、まとまりごとに読んで自分が考えたことをノートに書く活動が中心となる。書いたも のはペアの友だちと交換して読み合い、友だちの考えを読んだ感想を友だちのノートに書いていく。 交流を通して、お互いの考えや言葉に寄り添い、読みを深めていく様子が見られた。


 「どうぶつ園のじゅうい」は、どうぶつが元気にくらせるようにすることが大切だとわかりました。わたしが気になった言ばは、「くらせるように」という言ばです。

Aさんへ
 わたしがいちばん気になった言ばは、「くらせるように」です。Aさんといっしょで、そのAさん が「くらせるように」をどこから出したのかなと思いました。「くらせるように」は、「どうぶつた ちをしあわせに」や「お元気で」をしめしているのかなと思いました。どうぶつたちを大切にして、 元気でくらせるようにして、Aさんはその大切さを知ってこんな読んだかんそうを書いているのかな、とわたしは考えました。「どうぶつが元気でくらせるように」の「くらせるように」をぬいたのか な、と思いました。これで、「くらせるように」のことがよくわかって、よかったと思いました。


 質疑応答では、読みの授業展開はどのようにして行ったのかが話題となり、「時間を表す言葉」「獣医さんの仕事」を見つけさせる活動を中心に指導したことを明らかにした。助言の先生からは、次のようなご意見をいただいた。
◆この交流活動は説明文に合った器ではない。説明文においては思ったことよりも分かったことを通して書くことが大切である。
◆ノートによる交流をする意義は、全員が必ず活動するという点にある。ただし、音声言語による交流も否定してはいけない。
(京都女子大学附属小)