季節の言葉にふれる
北 川 雅 士

 本年度、近江八幡市から彦根市へと転勤になった。春休みに教科書を読んでいると面白い教材を見つけた。「季節の言葉」というページである。昨年度までの教科書にはなかった教材である。普通に学習を進めていてもなかなか出会うことのない四季折々の言葉が季節ごとに紹介されており、私自身とても興味を引かれた。

 5月の中ごろ、まずはじめに取り上げられていた季節の言葉は「春から夏へ」(光村5年)である。花ぐもり、花がすみ、花ふぶき、新樹、若葉、新緑、夏草、山したたる、五月晴れといった言葉と唱歌や俳句が紹介されており、「あなたはどのようなときに、季節が春から夏へうつろうとしていると感じるでしょうか」と書かれていた。
 そこで学級全体で教科書の言葉や唱歌、俳句を音読したあと、全員に「春や夏の始まりをどんなときに感じますか。ノートに書き出してみよう」という課題を出した。はじめは戸惑っている児童も多かったが、何人かが花の名前や、学校の行事などをつぶやくとどんどん書き進むことができた。

 学級で交流をした後で、教科書にある言葉か、自分がノートに書き出した季節を感じる言葉で俳句を作り、交流会を開いた。30人それぞれの思いや考えで作られた俳句はどれもその子らしさがあり、良い作品が多かった。その中でもある女の子が作った句が素晴らしかった。 
 「花ふぶき」という言葉を使い、学年始めに集合写真を撮った時に、桜の花びらが散り、辺り一面に積もった様子を「雪がつもった」と表現していた。この子には散っている桜の花びらも、地面に積もった花びらも雪のように見えたのだろう。はじめは、理解ができずにいた子ども達も説明をすると「なるほど」と言い、学級からは「すごい」「きれい」「うまい」などという声が出た。

 夏休みに入る直前にも「夏の日に」という教材で夏を感じる言葉を集め、俳句を作り発表会を開いた。ここでは野球大好きな男の子が「夏を感じるのは甲子園です」として作った俳句がとても印象的だった。

 季節を感じる言葉や、その感じ方はそれぞれに違ってさまざまなものである。美しい日本語の表現にふれながら、季節の移り変わりを感じるのもよいが、子ども達の感性で表現された季節の言葉にふれるのも面白いなと感じながら、この先に待つ「秋」そして「冬」の季節を感じる言葉でつくられた俳句にどのような名作が生まれるのかが今から楽しみである。
(彦根市立城南小)