登場人物の人柄を中心に物語を紹介しよう
海 東 貴 利

 3年生の物語文教材『海をかっとばせ(光村3上)』を使って、登場人物の人柄を中心に物語を紹介する授業を行った。単元を通して意識させたことは、単元の終末に、2年生に選んだ物語の紹介をするということ。また、紹介するときは、「しょうかい人形」という物語の「あらすじ」「登場人物の紹介」「自分と比べた感想」などを書いたリーフレットを用いて発表することである。

 大まかな単元の構成は次の通り。
 第一次の導入では、教師自作の「しょうかい人形」を使った物語の紹介で、言語活動のイメージをつかませる。同時に、並行読書として3年生と同じくらいの子どもが登場する本を読み進める。次に、「しょうかい人形」のつくり(パーツ)を確かめ、単元の計画を確認する。
 第二次では、「海をかっとばせ」で学習したことを自分の選んだ物語に生かすことができるように、「しょうかい人形」の「あらすじ」「登場人物の紹介」「自分と比べた感想」などのパーツを仕上げながら学習を進める。各パーツの学習では、交流の場を設定し、互いのよさや違いを感じることができるようにし、さらに、自分の読みを明らかにしたり、広げたりする。
 第三次では、並行して読んできた本に出てくる心ひかれる登場人物についての「しょうかい人形」を使って、本を紹介し合い、そのあと、2年生にも紹介をする。


 

 この学習では登場人物の人柄をどのような言葉で表現するかということも大切であると考え、次のような下支えを行った。
◆人柄を表す言葉の掲示…教科書の巻末にある「思ったことやかんじたことを表す言葉」のページにある語彙を中心に、登場人物がどんな人物かを表す言葉を提示し、教室に掲示した。性格を想像する手がかりとなるようにした。
◆並行読書の記録カードの工夫…関連図書を並行して読み、読書カードに記録させた。カードには本の題名の他に、主な登場人物や出来事、登場人物の性格を記録する欄を設けた。また、先ほどと同様に、人柄を表す言葉をカードにも例示し、性格を想像する手がかりとなるようにした。

 第二次第6時(全11時)では、登場人物の人柄について叙述をもとにして話し合う学習をした。この時間は、「しょうかい人形」の「登場人物の紹介」のパーツを作る時間となった。『さいしょの日、ワタルは、バットをつかんでうちをとび出した。』という叙述からは、登場人物の人柄を「がんばりや」、「努力家」、「まじめ」、「熱心」といった、いろいろな言葉で表現することができた。本時の中で出てきた人柄を表す言葉の多くは、教室の掲示や読書カードにある人柄を表す言葉からのものだった。

 授業では、自分が想像した登場人物の人柄とその根拠について叙述をもとに説明し合うことで、さらに考えを広げるとともに、「しょうかい人形」の「登場人物の紹介」のパーツづくりを再検討することもできた。
(高島市立マキノ南小)