「未来への一歩」組立通信
廣 瀬 久 忠

 6月7日。運動会が秋開催から爽やかな初夏へ時期変更して開催となった。
 夏休みに構想を練り、指導計画を立てて、残暑と向き合いながらのこれまでの運動会が急変した。
 構想を練るのは黄金週間周辺。休日返上で1・2年も3・4年も創作表現活動を考えていたようだ。夏のダンス講習会を待たずに担任団の創意工夫がそこかしこに溢れその出来映えのすばらしさは圧巻であった。目の前の子どもをイメージして創作されたものだから子どもたちのはつらつとした大きなしなやかな動きとキラキラ輝く瞳とが多くの観衆を魅了した。

 5・6年は組立体操。新技が導入される相談を職員室で聞いていた。アッと言わせるものらしい。
 この170名の壮大な力強さ溢れる集団美と子どものめざす価値をひとつの方向に集中して学習できるよう担任団はじっくり話し合っていた。そのために考えられたひとつとして「組立通信」が発行された。組立体操の学習が続く3週間に日刊で発行された。この通信の最大の魅力は「子どもの学習感想」が5クラス、順に数人ずつ紹介されているところにあった。
 それぞれの担任が朝の会で読みながらその日の体育学習の確認をしていた。全体のめあてがある。担任は自分のクラスの子どもに向けて更なるめあてを語りかける。担任団での指導は170人全体だが、子ども一人ひとりが意志を持っているからである。自学級の子どもの思いを一番理解できる担任だからの語りかけがあった。

【第1号】
「組立体操でみんなに学んでほしいこと」は4つ。
@一生懸命に取り組むこと。
A仲間を信頼すること。
B苦しさやつらさを乗り越えること。
C自分の力に気づき、高めること。
 初日の学習手順が示されている。
 ・学習内容とめあて
 ・服装と集合方法
 ・練習中の約束
 ・技を美しく見せるために
 これらは、各教室で各担任より通信を読み上げながら、学習の見通しと心構えを作っていく。当然のごとく、全体指導のために体育館に集まった170名は通信に込められた担任たちの思いを承知している前提での集合であった。
 学習を終え、子どもたちは学習感想を各クラスで書いている。

【第2号】 感想は六の一
「今日の組立体操の練習で一番疲れたのは、技じゃなくて『気をつけ』です。目線を上げ、上に向け手の先を伸ばして、立つのが一番疲れました。でも、五年の手本となるのでがんばりました。」
 担任は子どもに語りかける。「友達の思ったことから学ぶと言うことも大切なことです」と。
(湖南市立菩提寺小)