第41回国語研究集団合同研究会 報告 
弓 削 裕 之

 「百年後のふるさとを守る」(光村5年)の実践提案をさせていただいた。
【学習の流れ】
(1) 単元の学習課題を設定し、自主活動計画を立てる。
(2) 手引きを参考にし、本文から読み取ったことをノートにまとめる。
(3) 「物語のような書かれ方」「事実の説明」「筆者の考え」を読み分ける。
(4) 筆者が儀兵衛の業績に見出した意味について考える。
(5) 好きな伝記を読み、自分の生き方と関連させて考えたことを書く。
(6) 友達の発表を聞き、自分の生き方と関連させる。

 (3)は、(2)の活動でノートに記した予想をもとに読み分けを進めた。子どもたちは文末表現など細かな書かれ方の特徴を見つけ、それが3つのうちどの書き方にあたるのか議論した。特に「2」の最後「浜口儀兵衛の本当の物語は、実は、この後始まる」に注目させ、それ以降の「3・4」との違いを明らかにすることで筆者が儀兵衛のどんな考えや行動に意味を見出したかを考えた。(5)の活動で伝記を選ぶ際は、防災学者である筆者だからこそ儀兵衛の防災事業に意味を見出したことに触れ、「自分だから」という始点で選ぶよう声かけをした。(6)の時間には、「多くの偉人が幼少期は優等生ではなかった」「功績を残すまでの道のりがそれぞれ違った」「伝記を選ぶ時、自分と似ているから選んだ人と、自分とは違うから選んだ人がいた」など、子どもたちの気づきから伝記の読み方のヒントが生まれた。

 最後に、この単元を学習した自分を客観的に振り返り、作文を書いた。今まで受身で授業を受けてきた児童は、自主学習を通じて授業に参加した自分を「朱に交われば赤くなる」と表現した。授業中、「福沢諭吉」の伝記に没頭していた児童は、「『もっと読みたい』と伝記で感じたのは、私の人生で初めてです」と振り返りに記した。

 研究会では、「読みのプロセスを明らかにする『読み』をしている。自分たちの読みのプロセスを自覚させていく授業だった」「自分の考えと関連させて読むという大切な経験をさせている」など評価していただいた。課題となったのは、教師が授業に出過ぎていることであった。「教師の言葉が難しい。教師が高いところを求めすぎている」「自分と偉人を比べるのは難しい」など、授業改善のヒントをたくさんいただいた。
 まずは、子どもの言葉に耳を傾けること。教師の言葉は、その後でいいと感じた。
(京都女子大学附属小)