ズレが起こると学び合いが進む 〜夏季公開講座より〜
高 野 靖 人
大津市では恒例となっている夏季休業中の国語部会公開講座。本年度も、7月下旬に明日都浜大津で午前の部・午後の部と二部構成で実施された。 午前の部は、「ことばを学ぶということ〜『文学を読むこと』の育ちを追って〜」と題した高島市立新旭北小の大杉稔先生の講話。 午後は、「書き方指導の玉手箱〜書く力を育てる指導の工夫〜」と題した演習的な研修を国語部会の推進委員が分担して進行した。午前、午後とも60名以上の参加があった。午後に関しては、人数が多いこともあり、2会場に分かれ、前半・後半の内容をチェンジすることで対応した。 私の役割は、午前は「講師紹介」、午後は中会議室担当として最初と最後に「あいさつ」をした。 さて午前の部。理論と実践のバランスがとれた大杉先生、勤続30年以上のベテランながら、本年度は6年生の担任をされている。模擬授業も含めて、参加者のほとんどが一度以上何らかの発表をしたという参加型の講話で、終了後のアンケートを見てもなかなか好評だった。 講話は、配布された「ちいちゃんのかげおくり」の教材文に線を引くことから始まった。本文5行目からの文末に注目させられた。「お父さんが、つぶやきました」「お兄ちゃんがきき返しました」「ちいちゃんもたずねました」… すべて違った書き方がされている。ところが、「かげおくり」の場面では一転して、「言いました」という同じ表現が繰り返し使われている。こうした冒頭の表現、作者の思いをどう考えるのか。参加者が様々な意見を述べた。違った視点からの意見が出されると、大杉先生の顔がほころぶ。違いやズレが大切だという考え方である。 講話が始まってから、タイミングをみて配付されたレジュメには、「読む・読み合うという営み」として次のように示されている。 ・読むことは見えない ・見えないものは学べない、学び合えない ・だから表現する/音読、朗読、動作化、吹き出し、心情曲線… ・表現させることでズレを起こす ・ズレが起こると学び合いが進む ・結果として、ことばの使われ方に目が向く そして、俳句のイメージを交流したり、鑑賞文を書く模擬授業へと進行していく。自分の思いを持つ視点として「言葉のメガネ」の手法なども教えていただいた。 初任者の選択研修でもあり、若い先生も多い会場だったが、初任者の多くが難しいと感じる国語の授業への一つの指標が実感できた講話だった。 (大津市立仰木の里東小)
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