弓削先生の提案に学ぶ 「百年後のふるさとを守る」から
伊 庭 郁 夫

 8月3日「竹の会」「東風の会」「さざなみ国語教室」による合同研究会が大阪であった。
 私は、さざなみ国語教室の弓削先生の提案に対する助言の立場を頂いたので、学んだことを記す。 大きく3点についてである。

 まず第一は、頑なまでの忠実な授業記録である。資料のページ数でいうと59ページに及ぶ。数十時間のテープおこしを連想させる。しかも、都合の悪い発言も忠実に記録されている。本年度の「さざなみ国語教室」の方針でもあるこのような授業記録に立ち向かう姿勢に好感が持てる。他の研究集団からも高い評価を頂いた。この記録があるため、子どもの発言や思考の流れについて、効果的な取り上げや不適切な学習の流れに気づくことができた。

 二点目は、きれいな板書と子どものノートである。京女式ノートは全国の書店に広がっている。その原点は、先生方の板書に対する地道な研鑽である。提案資料には、「水無月二十一日」「教材名」「めあて」「学習計画」「自分の考え」「考えたことをまとめ発表する」「今日の学び」「今週の学び」等板書に匹敵する丁寧さでノートに記録されてある。教材の後の「学習のてびき」を丁寧に扱い、てびきを自分で分析しながらノートに足跡を残している。
 ノートを見ていると、伝記を学習しながら、並行読書で伝記を読み、自分の生き方考え方と照らし合わせて学習が展開されている様子がよくわかる。

 三点目は、「てびき」を大切にしながら読む点である。書き方に注意して「物語のように書かれている部分」「事実の説明や筆者の考え」の書き方に注意して指導する点である。何のために「書き方に着目させる」かを考えながら指導する必要がある。「物語のように書かれている部分」は、功績も含まれる。誰が書き手もある程度同じ表現がなされる。ところが「筆者の考え」は、それぞれの立場で見方考え方が異なる。これが、他の伝記を読むときに生かされる。野球少年であれば、王貞治・イチロー・ベーブルースなど読んだ時自分と対比しながら考えていくであろう。
 感心したのは、この学習を通して子どもから「百年後のふるさを守るや福沢諭吉をよく理解でき、意味がわかり、何よりおもしろい、もっと読みたいと感じたからです。(中略」これからも伝記をたくさん読みます。こんな自分は、国語好きになっているのでかなり成長したと思います」といった感想を導き出した点である。
(大津市立木戸小)