1学期が終わって
北 川 雅 士

 6月に6年生の学習を参観する機会があった。学習内容は「新聞の投書を読み比べよう」(東京書籍6年上)。公開されていたのは4つの立場から書かれた投書の文章を、構成を比べながら、それぞれ異なった書き手の工夫とその効果を読み取るという内容だった。この授業後の研究会で話題になったのは、この単元の学習で身につけさせたい力をつけるために、6年生になるまでにどのような力を付けるべきかということだった。

 この研究会の直後、私が担任をしている5年生でも「新聞記事を読み比べよう」(東京書籍5年上)という単元が控えていた。昨年度の反省と、6年生の授業公開後の研究会から次のことをきちんと押さえたいと考えた。
(1) 新聞の構成を押さえる(見出し・リード・本文)
(2) 写真の効果について
(3) 見出し・写真によって読み手が受ける印象について

 中でも、「見出し・写真によって読み手が受ける印象について」をどのように指導し、子どもが各新聞の送り手の工夫とその良さを実感できるのかを悩んでいた。そこに飛び込んできたのが「富士山の世界文化遺産登録」というニュースである。「これは使える。」と思った。
 まとめの学習に入る直前、「世界文化遺産登録」が決まった翌日の新聞を子ども達に持ってきてもらうと、見事に各社の一面は富士山の世界文化遺産登録を伝えていた。しかし、見出しや写真はすべて違うのである。子ども達に自分の持ってきた新聞社の記事について、見出し、リード、そして写真のキャプションをまとめ、送り手が何を伝えたいのか、自分がどのように感じたのかを書いて交流した。
「○○新聞は三保の松原も登録されたことが中心や。」
「○○新聞は富士山がどんな山か詳しい説明が載ってた。」
「○○新聞と○○新聞は似てるな。」
「同じ写真がないのはすごいなあ。」
「富士山にこんなに神社があるのはじめて知った。」

 普段新聞を読んだ経験はほとんどない子ども達である。この学習をしたことで、夏休みに少しでも新聞を気にして読む子どもが増えてくれれば幸いである。
 2学期始業の日、「夏休みに新聞読んだよ。」の声が聞ければ、1学期の学習の成果があったと実感出来るのではないだろうか。楽しみにしながら夏休みを過ごしたい。
(近江八幡市立桐原東小)