多様な感想が生まれる
北 島 雅 晴

 「ばらの谷」(東京書籍6上)での学習。この話は、ばら作りの名人ドラガンが、最高の色のものを求めてばら作りを進めるという話である。はじめはあわいピンクの色だったがその色に満足せず、まっ白、黄、青と色を変えていくのだが、最後にもとのあわいピンク色のよさにたどりつく。
 話の展開は分かりやすいのだが、この物語に子どもが興味をもつことができるのか、やや心配ではあった。できるだけ子どもの力で学習が進められるように考え、次のような学習の手引きを作って個別学習を中心に行った。

【ねらい】
○物語が強く語りかけてきたことを見つけ、自分の感想を200字程度でまとめる。
【学習の進め方】 全5時間
(1) 何度か音読をする。
(2) それぞれの場面ごとの様子について、観点を決めてまとめる。
 ・ばらの色  ・ドラガンの思い
 ・村人の思い ・どうしたいのか
(3) 物語が強く語りかけてきたことを決めて、感想を書く。
(4) 感想を交流する。

 感想の一部を紹介する。
◇ドラガンは、これで満足せず、本当のばらを求めていくのではないだろうか。
◇ドラガンは、もっとばらの色を信じてもいいと思ったが、一つのことにかけるのはすばらしい。
◇ドラガンは、最後に本当の自分にもどったのかなあと思った。
◇ドラガンは、本当のばらに気付いたのだろう。いろいろなばらを作ったから、最後にありのままの自分が見つけられたと思う。
◆ばらは、自然のままがいいということが言いたいのではないかと思った。
◆どんな色に変えても、昔からある色にはかなわないのだと思った。
□筆者は、本当に求めるものは近くにある、ということを言っているように感じた。
■自分が思ったことをほったらかしにすることが多いので、自分の考えをまげないようにしたいと思った。
(◇ドラガンの生き方について、◆ばらの色がもつ意味、□物語の主題にせまること、■自分の生き方と比べて)
といったように、色々な視点から感想を書いているので、(4)の感想交流が、有意義なものとなった。 「こんなにいろいろな考え方があるんだ」と気付く子も多かった。読めば読むほどいろいろな考えにたどりつくことができる、と気付く学習となった。
(草津市立志津小)