見方を広げ、視野を広げる @
海 東 貴 利

 わたしたちの生活は、絵画や音楽などの多様な芸術やその作品で彩られている。また、そのようなものに対して評価した文章も日常生活にあふれている。このような文化的なものに対して関心を持って見たり、読んだりすることは、実生活の中の言語生活をより豊かなものにしていくことにつながると言える。

 そこで、「筆者の説明の仕方について考えながら読むこと」「絵から読み取ったこと、感じたことを書くこと」をおもな言語活動として、文章を「読む」力と「書く」力、そして、絵画作品を「読む」力(子どもたちの言葉の力)を育てていく単元を構想し実践した。この実践を通して、さまざまな絵画作品に対して関心を持って見るようになり、自分の感じたことや考えたことを表現できるようにしたいと考えた。

 単元の目標を「見方をとらえ、視野を広げる」とした。見方とは何か、視野を広げるとはどうすることか。この単元目標に迫るために、まずは、「見方をとらえ」ることを、筆者のものの見方を学ぶことと考え、第1の教材として「『鳥獣戯画』を読む」を読む学習を行った。本や文章を読んで考えたことを発表し合い、自分の考えを広げたり深めたりすることをねらいとし、教材文(鳥獣戯画を読む)を読んで、筆者の捉え方や表現の工夫の仕方について学んだ。

 次に、第2の教材「この絵、わたしはこう見る」では、いくつかの美術絵画作品を見ながら、教材文の書きぶりを参考にして解説する文(鑑賞文)を書いた。この学習では、
(1) 好きな絵を選び、何がどのように描かれているかをじっくり見る。
(2) 絵から読み取ったこと、感じたことを文章にする。
(3) 書いた文章を友だちと読み合う。
という学習の流れに沿って、絵をよく見て解説し、自分の感じたことや考えたことを多くの人に伝えられるようにした。また、学習と並行して、学級文庫に絵画作品を解説する本を置き、絵画作品そのものに興味を持たせるだけでなく、教材文以外の絵の見方にも関心をもって並行読書できるようにした。そして、学習の出口として、並行読書した本の中から気に入った絵を選んで、その絵の解説を書く学習を設定した。

 第1時は、鳥獣戯画の絵をじっくり見ることから始めた。そして、この絵を解説する文章を書いた。

「うさぎとカエルが仲よくプロレスごっこをしています。1ぴきのうさぎは、集中攻撃を受けています。1ぴきのカエルは、1ぴきのうさぎをかみかみとかんでいます。そのうさぎは、頭が逆方向に向いてしまっています。」
 教材文をまだ読んでいない段階。絵の見方としては単純であるが、「何が、どうした」という型の文章でまとめている。

 第2時では、教材文を読み、自分と筆者のものの見方や書きぶりを比べた。

「違うところは、ぼくは、この絵を一つ一つの出来事を書いていると考えたけど、筆者は時が流れているというふうに考えていたところです。」
「人によって絵の見方がちがうんだなと思った。見どころっていっぱいあるんだなと思った。」

 このように、児童は筆者の絵の見方について共感したり、納得したりして関心を持つことができた。
(高島市立マキノ南小)