ことばであそぼう 〜夏の詩づくり〜
池 嵜 繁 伸

 先日、ある小学校の自閉症・情緒障害特別支援学級の国語科の授業を参観する機会を得た。知的な遅れはないが、個々の教育的ニーズに応じた支援を要する子どもたちが在籍している学級である。

 単元名は「ことばであそぼう〜夏の詩づくり〜」。教材文は、各学年の「季節の言葉」(光村)を活用している。
 指導案には、「1年間の季節や行事毎にさまざまな詩を作ってためていき、最後には1冊の音読詩集ができあがったら、子どもたちの自信になり宝物にもなるだろう」とあり、年間の学習を通じて豊かな言語感覚や自己肯定感を育みたいという指導者の願いが綴られている。

 単元構想(全6時間・本時5/6)の概要は次のとおり。
◇一次(1時間)…学習の見通しを持つ。『夏の詩を作るために「季節の言葉」を学習し、ことばあつめを楽しもう』
◇二次(2時間)…「季節の言葉」を読み、夏の体験(流しそうめん・水泳等)に基づいたことばあつめをする。
◇三次(3時間)…夏の詩を作る。

 本時は、前日実際に体験した「かき氷作り」をもとに夏の詩を作ることが学習活動の中心である。
 かき氷作りの様子を撮影した3枚の写真を画用紙に貼り、その横に長さの違う短冊を並べたワークシートが用意されていた。
(1) 体験を思い出し、ことばあつめをする。子どもたちは、短い短冊には擬音語を、長めの短冊には、会話や思ったこと等を書き入れていった。
(2) 短冊を並び替えたり、付け加えたりして詩を作る。友達の作品も参考にしながら、それぞれの子どもが自分の短冊の順序を考え黒板に貼り付けていく。
(3) 詩の題名と作者名を書く。
(4) 自分の詩を発表し、友達のよいところを交流する。

【2年生児童の詩(本時)】
  かきごおりの音
        かき ごりお
 ザラ。じゅんびOK! 回すよ
 ガリガリ ガガリ ガガリ
 グゲグゴ ゴガリリ
 うぐぐぐぐぐ
 できたらー、トン。 シャリ
 おいしい! シャリ ジャリ
 すごくおいしい!
 おいしいよ!
 みんなもやってみてね。

 体験やそれに基づく語彙が不足しがちな子どもの特性に応じて単元を構成し、書く見通しや手順を分かりやすく示すことにより、安心して学習に取り組む子どもたちの姿が印象的であった。
 通常の学級においても子ども一人ひとりの可能性を最大限に伸ばす指導のあり方を、日々の授業実践から探求していきたいものである。
(彦根市教委)