国語力を高める指導について考える 〜話すこと・聞くこと〜
谷 口 映 介

 今年度は、1年生を担任している。知らず知らずの内におもしろそうなものや遊びに引き込まれ、入り込むことでそのものになりきる1年生。日々成長する大きなパワーと可能性を感じている。学年の特徴として、五感を刺激するものに身を乗り出し、素直に全身で反応し、生のまままるごと受け入れる子ども達。話したい意欲が大いに高まる時期である。だが、指導に当たっては、まず「聞く力」を高めたい。

「聞く力」を高める
 聞く力を高めることは、人権意識を育成することに直結する。相手の話に耳を傾ける習慣を身につけることが相手を思いやる気持ちを高めると考える。この視点から、真っ先に聞く力を高めたい。私は、「目と耳と心で聴く」ことを大切にしている。子ども達にも分かるように教室に常時掲示しておきたいものである。
【聞き名人】
目 ○話し手を見て聞く。
耳 ○最後まで静かに聞く。
心 ○うなずきながら聞く。
  ○大事なことを見つけながら聞く。

話す力を高める
 初めは教師に対して話すことが多いが、徐々に相手を意識した話し方を工夫させたい。まずは、身近な事柄から話題を見つけ、短い文で話す習慣を身につけさせていくことが大切になる。週明けには、ペアで楽しかった出来事を聞き合う時間を設けている。インタビュー形式で相手に尋ね、問われると楽しかったこととその理由やエピソードを2文から3文程度で話すようにさせた。その後、ペアを変えて、「〜だそうです。」といった伝聞での言い方を活用して紹介し合う時間も設定している。二段階での話す機会を保障することで短い言葉で伝える力を高めたいと考えている。子ども達は、休日の出来事とあって、勢い込んで話そうとしていた。まだ言葉としては拙いが、語彙を増やす指導と共に継続していきたい。また、どこかへ出かけたことだけが取り上げられがちであるが、そうではなくても身の周りに話す題材があるのだということに気づかせていきたい。
【話し名人】
目 ○聞き手を見て話す。
耳 ○声の大きさを考えて話す。
  ○速さに気をつけて話す。
心 ○順序を考えながら、分かりやすく話す。

 学びの土台を作る1年生。学び方を数多くため込めるように系統立てて指導していきたい。
(滋賀大学教育学部附属小)