第28回「新しい国語授業」研究会
「楽しい国語」の授業づくり
杉 澤 周 一

 子どもが、楽しく学習し、しかも力をつけることができるのは、「学びの自覚」を得る学習ができた時だと考えている。先生と学習仲間と学習材等により自分にない気づき、思い・考えに出会うことやスキル学習など、何らかの学習活動を経て、授業のはじめに比べて自分が変容していることを自覚する。「楽しい国語」は、その変容の喜びや価値観をともなってこそのものである。
 また、単元を通して、その学年を通して、6年間を通して「学びの自覚を積み重ね、「ひとりで○○できる自立」へつながっていくとき、その楽しさは継続すると考えている。ならば、学年を通した系統性、学年間の系統性は、「楽しい国語」の必須のものである。

 今回の提案で、子ども個々が変容し「学びの自覚」につながる授業展開や系統について、物語を読むことの学習を例に示した。「学びの自覚」を得させ、個々の自立につなぐため、教えるべきことはしっかり教えることや読み浸らせること、他から自分に取り寄せてもう一度読み考えることを積み重ねる展開にしている。

【その学習例:初発の感想】
〔4年・5年1学期〕
T 次のことについて箇条書きで感想を書きましょう。1文だけではなく、3文ぐらいで書くこと  に挑戦しましょう。
(1) 視点提示後、じっくり、くり返し読み浸らせる。
 (一度の読みだけで感想を書かせない。)
(2) 単元目標に応じて、幾つかの視点ごとに箇条書きの感想を書かせる。
 (視点提示例:主人公の様子や気持ちについて三つ以上書きましょう。自分の好きな場面について理由をつけて二つ以上書きましょう。)
(3) 視点ごとに、交流させる。学習仲間の思い・考えをとりよせ、メモ書きをする。
 (視点ごとに感想一覧プリントを作成し、自分以外の感想をたくさん読ませ、改めて本文を読ませる。)
(4) もう一度、視点ごとに箇条書きの感想を書く。

↓ステップアップ
〔5年2学期〜6年1・2学期〕
この学習(単元)のテーマについて(のみ)感想を書きましょう。
(1) テーマ提示後、じっくり、くり返し読み浸らせる。
(2) テーマごとに百字程度の感想を書かせる。テーマ例:山場、主人公の変容、 題名、主題、作者、この物語の良さ …
このテーマで二次で読み深める。

 ↓ステップアップ・自立へ
〔6年3学期〕
(1) 3時間、読み浸り400字程度の感想を書かせる。
(2) 感想を交流させ、さらに読み深めさせる。
(3) もう一度読み感想をまとめさせる。
(東近江市立玉緒小)