博物館での言語活動
蜂 屋 正 雄

@  琵琶湖博物館には滋賀県内外からたくさんの小学生が見学に来てくれる。一般的には、サポートシートやワークシートを持って、展示を見学して帰るというパターンであるが、希望があれば、我々博物館教員が、琵琶湖や琵琶湖博物館のお話、ヨシ笛作り、化石のレプリカ作り、昔くらし体験など、博物館の展示と関連させたいくつかの体験プログラムをさせてもらっている。

 国語科の学習で、相手意識、目的意識ということを言うが、博物館で実習を行う際にも、子どもたちが相手意識、目的意識を持っているかが姿勢に現れてくることがよく分かる。発達段階によってのちがいはあるものの、「見学やお話の後には、教えてもらった人に感想を伝える」「自分の考えたことを言葉にする」という相手意識、目的意識がある子どもたちは、話をよく聞いてくれ、こちらも大変話しやすい。

 学校によっては、学習の後に、子どもたちに感想を言わせ、我々に聞かせてくださる学校もたくさんある。積み重ねがされていることはその話し方を見るとよく伝わってきて、こういう習慣があるから話しやすかったのだと気づくことがある。そのような意識は展示を見学するときにも見えてくるようで、展示交流員さん曰く、「入ってきたときに学校の雰囲気はだいたい分かる」そうであるが、目的を持ってきている子どもは静かで、話し言葉もていねいなことが多い、接していても気持ちがいいということである。

 また、教師側の意識とも関係しているようで、「先生が大声で話している学校の子どもは走る、騒ぐ」「学習の場であるという意識を持って子どもと接している先生が引率している学校は落ち着いていて、見ていても安心である」ということである。フローティングスクールや教育委員会に行き、たくさんの学校を見るとその違いがよく分かるようになってくるという話はよく聞くが、子どもたちは本当に教師の姿勢を鏡のように映し出しているということを実感する。

「博物館でなくてはできない学習」はたくさんあり、学校の学習に役立つよう、まだまだやるべきことがたくさんありそうだと、頑張っているところである。「校外学習は学級作りの成果が見える場だ」ということに改めて気づかされ、担任の先生方の作られる言語環境、学級文化に学ばせていただいている、秋の繁忙期である。
(琵琶湖博物館)