▼雑誌「教育科学国語教育」の第1号の巻頭論文で学者の西尾実氏は「国語教育は、国民一人一人の言語生活が充分にでき、しかも我々の言語生活を改善してくれるような教育科目でなければならない」という意味のことを述べておられる(「私の作文教育No.94」水澤潔)。水澤潔先生がお書きになったものは、国語教育の本質から教師のあり方まで幅が広い。教師としてエネルギーを頂いている。

▼新しい国つくりを考える時代の「言語生活が十分にでき」「言語生活を改善」及び、「教育科目」の意味は大きく重い。その後、研究と実践が深められて授業が改善されている。しかし、課題は多い。時代の変化の中で国語に対する価値観が変わり、授業の内容も変わってきた。言語に対する考え方も変わっている。しかし、いつの時代にあっても、「一に国語・二に国語」ということは変わりがないと思いたい。

▼国語教育を学校目標に学校づくりを志して5年を超え6年、7年とたった。返事や挨拶、丁寧語等「しつけ」に関わることを繰り返し積み上げる過程で心が育つ手応えはある。それでも、課題は多いし言葉に軸にした問題は次々起こる。もし、国語力の育成に真正面から取り組んでいなかったらどんな日常であるのかと思う。光明は言語生活を整えようとするとぬくもりを感じる生活が増えること。(吉永幸司)