好奇心を大切にした授業づくり
岡 嶋 大 輔

 2年生の教室。「たんぽぽのちえ」(光村2下)を扱い学習しているときのこと。「たんぽぽがいちどたおれるのが、たねにえいようをおくるためだというわけがあるのがすごい」という子どもの感想があった。多くの子どもが、たんぽぽに対して、このような「形」と、その「わけ」に対して「すごい」と思っていると感じた。
 私は、そういった子どもたちの思いを生かして、新しく単元を作れないかと考えた。授業づくりに際して、「生き物のふしぎについて説明している文章を興味を持って読み、『形』とその『わけ』に着目し、事柄の順序に気を付けて読めるようになることで、そのジャンルの文章を自ら楽しく読み進められるようになってほしい」という願いを込めた。
 また、読んで「すごい」と思ったことは、誰かに伝えたくなるものである。先に挙げた着目点を生かして「知り得たことを身近な人に紹介できるようになってほしい」という願いも込めた。

 子どもに始めに見せたのは、オナモミの実の写真である。
T これは何か知っていますか。
C 見たことはある。
T この実を見て気付いたことはありますか。
C とげとげが付いている。(等)
T このオナモミの実にはとげとげが付いていて、先が曲がっています。このとげは、…… (説明が続く。)

 たんぽぽ以外の生き物の「形」にも「わけ」があることに興味を持ったのであろう。どの子も楽しそうに話を聞いていた。
 教師は、事前に、図鑑に載っている画像から「なぜこんな形をしているのだろう」と思わせるようなものの内、「わけ」が分かりやすく表れているものを選んで一部抜粋したシートを20種程度用意しておいた。子どもは、2人1組となり、自分たちだけのシートを1枚受け取るようにした。

 学習では、図鑑における「オナモミ」のもとの文章を渡し、「形」と「わけ」の説明箇所を探すようにし、それを「はじめ」「形」「わけ」「おわり」の順に並べ替えて紹介原稿を書くようにした。分かりやすい紹介の工夫も考え合うようにした。
 子どもは、「オナモミ」の例と並行して、学級の友達に紹介する生き物の原稿を書いていった。
 印象的だったのは、学習のねらいに沿った活動に向かう意欲が高かったこと。その主たる源は、生き物の不思議に対する「好奇心」と、それを自分で図鑑から見つけて伝え「すごい。」と言ってもらいたいという「欲求」なのではないかと思っている。
(滋賀大学教育学部附属小)