お話の作者になろう  2年生の学習作り
森 邦博

 2年生に「お話のさくしゃになろう」(光村図書2年上)の単元がある。創作文を書くことは今回の学習指導要領に位置づけられた。
 教科書のページを開くと、【はじめ】−【中】−【おわり】の枠が作ってある。けれども【はじめ】と【おわり】の枠には挿し絵が描かれているが【中】は白い枠だけ。【中】の部分をどのように構成し、前後とつなげてお話を作っていく学習活動が想定できる。
 大津市の初任者研修会でこの単元を取り上げた。

「『はじめー中―おわり』を見たことあるという人はいますか。」
 やや間があって一人の先生が挙手。
「『たんぽぽのちえ』で見ました。」
「他には?」
「『スイミー』の手引きのページにもありました。」
「ということは、子どもたちは、ひとまとまりの文章は「はじめ、中、おわり」でできていることを、これまでも繰り返し学んできているのですね。」

 その後こう続けた。
「1年生を見てみましょう。まず『おおきなかぶ』。【はじめ】の挿絵はおじいさん1人、でも【おわり】にはねずみからおじいさんまでの登場人物全員が描かれています。9月教材『くじらぐも』の挿絵を見ると【はじめ】の場面で子どもたちに向かってやってきた鯨の形の雲が登場し、【おわり】には逆向きにさよならしていく雲が描かれています。『たぬきの糸車』では、【はじめ】が暗い夜の山の一軒家、【おわり】には、明るい昼の日差しの中の家。
 このように【はじめ】と【おわり】を比較するという読み方は、お話の全体構成を考えて読む指導内容につながっていくのですね。」

さらに続けた。
「3年生の担任の先生はどうですか。」
「説明文「イルカのねむり方」のページにもありました。」
「そうですね。1年生の学習が2年生につながるように、2年生の学習は3年生につながっている。ということは、2年生の学習をしっかりとしておくことが3年生の学習成果に影響するということになりますね。」

 初任者の先生方に気づいてほしかったのは、基礎的・基本的な指導内容に子どもたちが繰り返し出合ってきているということである。  そして、既習学習内容は、次に学ぶ内容の基礎基本として続いていくということである。
(大津市中央公民館)