物語のおもしろさを考えて読み味わおう 「注文の多い料理店」
谷 口 映 介

 文章を比較したり、評価したりしながら構成や表現の特色を読む力、読み取ったことをもとに自分の考えを持ち、交流したり、書き表したりする力を身につけさせることを目指して学習を展開した。

◆物語のおもしろさを読み解く
 宮沢賢治の生い立ちや時代、作品について紹介し、教材文と出合った後、三つの視点で物語を読み進めていった。
@紳士の会話や行動。
A戸に書かれた言葉。
B情景描写(色や音、比喩など)
 学習では、「とびらの注文」 「しんしの言動」「山猫のねらい・つぶやき」の三段に分けたワークシートを用い、それぞれに書き込みながら、両者の考えのすれ違いを確かめていった。初発の感想ではしんしはかわいそうとしていた児童も、読み進めていく中で、紳士の我儘な人物像や注文の二重の意味のおもしろさを感じ取ることができた。次に、原文と原文に類似した文章を評価しながら読む活動を行った本時は、最後の一文『しかし、さっきいっぺん紙くずのようになった二人の顔だけは、東京に帰っても、お湯に入っても、もう元のとおりになおりませんでした。』があった方がいいのか、なかった方がいいのかをテーマに、根拠を明確にして自分の考えを制限字数内に書いて交流をした。
○この文があるので、もう動物を物と思わせないようにするばつをうけたことが、分かりやすく伝わるからです。
○しんしは二人とも最初に、動物は必死に生きているのに笑い者にしているから、その分しんしをばつとして紙くずのようにしたという意味が書かれているからです。
 比較することは、自分の考えが構築できる点では有効であった。学習ではこの後、賢治が作品で伝えたかったことを考え、交流した。

◆読書を広げる
 第三次では、並行読書で読みためてきた宮沢賢治の作品の中から一つの作品を選び、「解説ノート」作りをした。視点は四つである。
@宮沢賢治の考えが分かる一文紹介(作品のテーマについて)
Aあらすじ
B表現の工夫(比喩・繰り返し・情景描写など)
C自分が感じた物語のおもしろさ
 製作後は、同じ作品を選んだ者同士で学習グループを作って交流会を行った。
 今回の学習では、作者がどんな効果を狙ってこの表現を使ったのかなど、作者の視点に立った読みが弱かった面がある。今後は、作者の意図を捉え、自分の読みに活かせる学習展開を工夫していきたい。
(竜王町立竜王西小)