▼「これは、わたしが小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です。」(ごんぎつね)この文章を読み、茂平というおじいさんから聞いた話であることは理解できる。ところが、聞いた通りそのまま書いたと思い込んでいた子がいた。この子たちは、授業でどのように指導をすればいいのだろう。聞いた通りでなかったら、その話が心に残っていたのはどうしてだろうという問題意識を持たせたら、「茂平じいさんが子どもに伝えたかったのは何だろう」という課題が生まれるかもしれない。

▼「昔は、わたしたちの村の近くの中山という所に、小さなおしろがあって、中山様というおとの様がおられたそうです。」茂平というおじいさんの話の続きのようにみせて、できごとが起こった時代背景が理解できる。話を聞いている子ども、語っているおじいさんの雰囲気も伝わってくる。

▼「その中山から少しはなれた山の中に『ごんぎつね』というきつねがいました。ごんは、ひとりぼっちの小ぎつねで、しだのいっぱいしげった森の中に、あなをほって住んでいました。」聞いている姿を思い浮かべて読むと面白い。

▼「ごんぎつね」といいながら、「ごん」と言っていること、「子ぎつね」と書いていないことから、「小ぎつね」と決めたのはおじいさんなのだろうか等、思いを広げ読んでみた。(吉永幸司)