第27回「新しい国語の授業」研究会
研究会参加報告
西 村 嘉 人

 平成24年2月18日(土)「明日都浜大津」の大津市ふれあいプラザで開催された「第27回新しい国語の授業研究会」に参加した。「さざなみ国語教室」の例会に参加できない月が続いていたので、久しぶりに国語の授業の話が聞けると、楽しみに出かけた 研究会のテーマは、今年度のさざなみ国語教室のテーマ「一人一人の子どもに言語力をつける楽しい国語の授業」である。

 研究協議の実践提案は、彦根市立城南小の白髭英之先生。司会は竜王町立竜王西小の谷口映介先生指導助言は西村が務めた。
 白髭先生の実践提案のテーマは「自分の考えを明確に伝えるために〜『平和について考える』の取り組みから〜」であった。
 6年生の担任に決まったときに1年間子どもたちに取り組み続けさせることの1つに「ふり返り日記」を取り上げ、1学期から継続されてきた。その結果、成果として書くことにはずいぶん慣れてきたこと、課題としてなかなか自分の思いや考えが文章に表せないこと等、自学級の取り組みのふり返りをした上で、本単元の学習の方向性を導き出した。
 「平和について考える」の学習では、
@書くことに重点を置く。
A「平和のとりでを築く」の筆者の考えを知る。
B文章の型を示す。
C見本作文のよいところを見つける。
D真似をする。
E「難しい」学習を経て「楽しい学習と感じられるように支援を工夫する。
F参考資料を用意する。
G書き上げた意見文は読み合いをする。
の8点を実践の柱として指導してきたことを具体的に提案された。

 参会者からは、
○意見文を書くのであれば、文末は「思った」ではなく「考えたと指導すると、子どもの思考がもっと深まるのではないか。
○教材の見本作文で子どもたちが何を学んだか。「真似をする」というのであるから、文章構成などもしっかり共有できる形で学習を進めた方がよかったのではないか。
○「平和」についての意見文をこれだけの時間で書かせることに無理がある。意見文の学習として「平和」から離れてもよかったのではないか。
等の意見が出た。
 研究協議の助言として、
○教科書の学習の手引きを子どもに読ませながら、自学ができる子どもを育てることが大切であること。
○子どもの発見を生かしながら見本作文で文章構成を学ばせる工夫。
○学習の成果として、子どもたちが単元の最後に「難しかった」とふり返ったことから、子どもたちの学習をやり切った満足感を読み取り、自信につなげることが大事であること。
などについて話した。

 研究会の第二部は、児童文学者の二宮由紀子先生に「私と児童文学の創作」のテーマで講演いただいた。2011年日本絵本大賞受賞作の「ものすごく大きなプリンのうえで」の読み聞かせや話の誕生に至るまでの秘話、世に出してからのエピソードなどを話されたまた、「へちまのへーたろう」「カップケーキのバニラくん」の読み聞かせとこれらの話にまつわるエピソードも聞かせていただいた。

 研究会の最後は、吉永先生から今回の研究会で学ぶことを教えていただいた。白髭先生の実践を取り上げながら、子どもが自分の作文を清書するときに、先生のアドバイス部分だけでなく主語述語の照応を確かめて直したり、余分な言葉を削ったりしている。内容に目が行きがちだが、国語の学習は言葉の学習であるから、きちんと言葉の学習をしているところを認めていくことが言葉の力をつけることにつながる、とまとめてくださった。
 久しぶりの国語の授業の話が気持ちよかった。
(彦根市立旭森小)