第16回「新しい国語実践」の研究会大阪大会
パネルディスカッションから学ぶ
伊 庭 郁 夫

 「新しい国語実践」の研究会大阪大会から多くを学んだ。

 コーディネーターの岡本修一元大阪狭山市教育委員会教育長は、「生きる力」を福沢諭吉の「識見と行動力」を引き合いに出された。考えたことをいかに実生活に生かしていくかが大切である。

 水戸部修治文部科学省教科調査官は、国語科における言語活動の充実について四つの原則を主張された。
○本単元で付けたい力の見極め
○付けたい力にぴったりな言語活動の選定
○言語活動を単元を貫いて位置づける
○児童生徒の「大好き」「知りたい・伝えたい」の重視
 例えば、低学年での場面の様子や登場人物の行動を考えるのがねらいであれば、紙芝居がいいのかぺープサートがふさわいのかなど単元を貫いての言語活動を考え選定する。そして、「あなたはどこが好き」と投げかけ主体的思考を促す。単元の終わりには、自力で読める力を育てる。

 花田修一日本教育大学院大学教授は、「ことばとこころ」は切り離せないので「ことば・こころ・からだ・いのち」の教育の推進の大切さを主張された。
 70パーセントの企業がコミュニケーション能力を大切にしているそうだ。思考力・判断力・表現力と共に想像力や認識力を育て、いじめ問題など「こころ」の問題にも取り組む必要がある。心あることばの使い手を育てることが急務であると感じた。

 野口芳宣青山学院大学特任教授は、教師・学校が「生きている言語の姿を示し、学級・学校経営の柱に言語文化を取り入れること」を主張された。教師自身がいきいきしており「覇気」が感じられるか自分自身の姿をふり返りたい。活気の溢れた挨拶、心のこもった挨拶、返事の「はい」ひとつにも心配りが必要である。また、かさこじぞうの「吹き出し」を書かせることがあるが、大きな一つの吹き出しでなく時系列に沿ったいくつもの吹き出しが必要ではないかと指導頂いた。

 森邦博大津市中央公民館学習専門員は、言葉の力は生きる力を育てることに通じるという主張をされた。校内放送は毎日同じ放送になっていないか、児童会のポスターに誤字脱字はないか、書写で学習したことが生かされているかなど身近な言語環境に目を向ける必要性についても話された。昨年の高校野球の選手宣誓は、部員と共に考え千回練習し自分のものにしていったエピソードも紹介いただいた。
「言葉の修行者であり続ける」ことをこころしたい。
(堅田小)