答えを見つけていくような発問づくりを
岡 嶋 大 輔

 本校では、6月と9月に教育実習生を迎えている。今回、教育実習生が国語の授業で扱った教材は「動いて、考えて、また動く」(光村4年上)である。
 学級の子どもの中には、じっくり読んだり、書かれていることの大体を理解したりすることに難しさがある子が数名いることは、私も教育実習生も感じているところであった。放課後の教育実習生との教材研究の場でも、理解が難しい子にスポットを当て、当たり前のことのようでもあるが「楽しく考えられ、分かりやすい授業」にしようということを確認し合った。

 単元の序盤、言葉の理解や円滑な音読ができるようになった後、教材文に書かれている内容をとらえていった。そこでは、「書かれている走り方を探ろう」ということを1つ大きな課題として示すようにした。  書かれている順番に走り方を確認していくだけではどうしても受け身の授業になってしまうので、自分たちで書かれている「走り方」を見つけていき、その動き方を読み取ったり、それらを分類したりしていくことで内容を理解することができ、筆者の伝えたいことを探っていくことにもつなげられるのではないかと教育実習生と考えた結果であった。

 まずは、書かれている走り方をどんどん出し合い挙げていくようにした。「ひざを高く上げて走る」「足を思い切り後ろにけって走る」と、黒板に短冊がずらっと並んだ。  次に、それらの走り方について、実際に動きながら「同じ走り方」「似た走り方」「違う走り方」に分けていった。
 そして、「高野さんに合った走り方」に傍線を引き、交流した。ここでは、それぞれの走り方がどの段落に書かれているものなのかということも意識させたため、「高野さんに合った走り方は3段落目から出てくることが多い」「六段落目は走り方の中でも『うでのふり』のことばかりだ」といった発見が出された。文章の全体として「合わなかった走り方」から「合った走り方」へと述べられていることもつかむことができた。
 その次に、「なぜ、そのように走り方が変わったのか」と問うた。
 そこでは、「べつの走り方をあれこれためした」「思いついた」「大切なことに気がついた」等の筆者が伝えたいことを探るために必要なキーワードが見つけ出された。

 教師が子どもに考えさせたいことがあってもそれを直接的に問うのではなく、子どもが発見的に考えていくように発問し、子どもが楽しそうに考えている授業をつくった教育実習生に拍手である。
(滋賀大学教育学部附属小)