第38回国語研究集団合同研究会
合同研を振り返って
岡 嶋 大 輔

 7月30・31日、滋賀県草津市の会場での第38回合同研に参加した。研究主題は、「『子どもが生きる』授業の改善」である。

 講話は「さざなみ国語教室」の森邦博先生。子どもにとっての読書の大切さや、読書の面白さ、読書指導のポイント等を実際の事例をもとに楽しく語られた。心に残ったのは、「絆」をテーマにしたブックトーク。その中でも、震災後の避難生活で小2の子が書いた新聞をまとめた本「ファイト新聞」についての話。「書くと両親が喜んでくれる。」というところから始まり、「書く」ことで、「作る人同士」「書く人と読む人」といった人の輪が広がっている。これこそが「国語力」であるという話であった。

 「竹の会」の若松俊介先生からは、「聞き合い、話し合いを通して、自分の読みを深める授業をめざして」という追求課題で発表があった。一人読みにおける数名の子どもの課題を一斉の場でつなげながら、その課題を子ども達が解決できるように進めていく授業の様子が伝わってきた。

 「さざなみ国語教室」の藤井隆一先生からは、「世界でいちばんやかましい音」(東京書籍5年)を扱った実践の発表があった。友だちの考えを聞き合うことが楽しいと思える授業づくりが印象的であった。

 「竹の会」の小林紀江先生からは、「自分の読みをつくれる子、友だちと関わりあって学びたいと思える子を育てるための授業づくり」という追求課題で発表があった。授業記録から、子ども同士が話をつなぎ合って考えている様子が伝わってくる。子どもの読みの世界を大切にしつつ教師がどんな願いを持ってどう出るのかといったことが話題にあがった。

 「東風の会」の浅川功治先生からは、「入門期から『書くこと』が好きな子どもを育てたい」と題しての発表があった。保護者を巻き込んでの口頭作文や、あのね帳につながるお話タイム、意図的な毎日作文等、指導の工夫がたくさんちりばめられていた。

 「泉の会」の角谷正孝先生からは、「ひっこしてきたみさ」(教育出版2年)を扱った実践の発表があった。「しんやくんは、なんでふうんと言ったの」という問題の答えを探っていった本時について。学習の課題を子どもが考えるために必要な押さえについての話題が興味深かった。

 全体を通して、教材研究の大切さをあらためて感じさせられた。教師がその教材をどう解釈するかだけに留まらず、子どもにとっての意味を深く考えなければならないことを学んだ。
(滋賀大学教育学部附属小)