第38回国語研究集団合同研究会
ブックトーク「絆」
森  邦 博

 東日本大地震は私に人の「絆」を考えさせた。国語研究集団合同研修会で中学年を念頭に行ったブックトークの概略である。

(1) セロ弾きのゴーシュの作者宮澤賢治さんは東北の人です。(表紙を見せて)毎晩ゴーシュの家を訪ねる生き物(挿絵を見せて)は何か大切なことを教えてくれます。私たち読者にも。生き物が結びつき合っているところ、それは森です。

(2) どんぐりもりのおきゃくさん(香山美子)。(本を見せて)ドングリは生き物の食料になるばかりではありません。その森の生き物たちや自然の声に耳を傾けてできた詩の本。

(3) のはらうた(工藤直子)。(「いのち」「なつがくる」「くらし」きりかぶさくぞうを読む)これはある切り株のお話。

(4) 大きな木(シェル・シルヴァスタイン 篠崎書林)。(表紙と切り株の場面を見せて)木は1人の人を愛し続け、切り株になりました。でも木は、「それでうれしかった」と言います。なぜでしょう。

(5) 100万回生きたねこ(佐野洋子)。100万回生きて死んでも平気だった猫は、「白いねこ」と出会い「いっしょにいつまでも生きていきたい」と願いました。友達も私たちにとっては大切。アフリカの子どもも友達と仲良し。

(6) いっしょにあそぼう(イフェオマ・オニェフル 偕成社)。アフリカの子どもたちも日本とそっくりの遊びを楽しんでいます。(かごめやハンカチ落としとそっくりな遊びの頁を見せる)すぐに友だちになれそうですね。

(7) ともだちや(内田麟太郎 偕成社)。キツネは友達屋さんを思いつきました。さて友達はできたでしょうか? 友達がいっぱいの学校。そんな学校がなくなるとしたら。

(8) さようならしょうがっこう(小種小学校のみんな+中川ひろたか)。「みんなのおもいで。がっこうはなくなってしまうけど、おもいではみんなのこころにのこるんだ、よね。(30ページを見せて)この学校は統合のためになくなるのです。さみしいね。

 東日本大地震で避難所の小学校で2年生が壁新聞を作ることを思いつきました。
(9) 宮城県気仙沼発ファイト新聞(ファイト新聞社)。(吉田理沙さんのコメントを紹介)3月18日から毎日、発行しています。吉田さんが避難所をさよならする日(50ページを見せる)の翌日には小山里子編集長に引き継がれて「ファイト」の輪が広がってゆきました。

 言葉は人を励まします。また、言葉は人を育てます。これからもよい本・言葉との出会いを願っています。
(大津市中央公民館)