よい聞き手になろう
海 東 貴 利

 毎日、日直が朝の会で1分間のスピーチをする。その後、聞き手の中から3人ほどが指名され、質問や感想、話し方の評価をする。名簿の順に日直が回ってくるので、スピーチをする順番もわかっている。だから、子どもたちはどんなことを話そうか考えてきているはずであるが、聞き手を前に発表すると、緊張した声になる子もいる。原稿なしで話すので、聞き手にもその緊張感が伝わって、スピーチに静かに耳を傾けている。後で指名されたら、どんなことを質問しようかと考えている様子も見て取れる。スピーチと質疑応答の形は少しずつではあるができてきた。

 光村3年上に「よい聞き手になろう」という単元がある。教材文の中に、「よいしつもん」という言葉がある。よい質問とは、話し手が一番伝えたいと思っていることは何なのかを考え、話に沿った質問をすることである。
 3人グループで「よい質問」をする練習した。話し手・聞き手・評価者に分かれて取り組んだ。ところが、ほとんどのグループで活動が停滞していた。そこで、1グループを教室の前に座らせ、3人の話し合いの様子を他の児童に観察させることにした。話し手の話、聞き手からの質問や感想、評価者からの評価、そして、観察者からの感想や気づきを話させた。

【話し手】クワガタの幼虫について話します。今年の五月、家でクワガタの幼虫を見ました。そしたら、なんとノコギリクワガタのメスが元気そうに動いていました。そして、幼虫を見たらかわいかったです。なぜかというと、丸まっていたからです。メスかオスか、どっちがうまれるか楽しみです。
【聞き手】(質問1)オスとメスどっちをうんでほしいですか。
【話し手】(答え)オスです。
【聞き手】(質問2)ノコギリクワガタは大きいですか。
【話し手】(答え)前飼っていたノコギリクワガタは大きかったです。
【評価者】○○さん(話し手)は、理由もつけて話していたので、よかったと思います。
【観察者】△△さん(聞き手)がした2つ目の質問は、ちょっと○○さんの話したかったこととちがったように思ったんだけど…。○○さんが話したかったことは、たぶん幼虫のことだと思うから、幼虫についてのことを聞いたら、よい質問になったと思います。

 話す内容がはっきりしていると聞き手も質問や感想を述べやすい。よい質問をさせるためには、話し手も鍛えなければならない。
 さっそく、次の日のスピーチでは、よい質問に挑戦しようということになった。
(高島市立マキノ南小)