新聞記事を読み比べよう
谷 口 映 介

 「二つの新聞記事を読み比べて、書き手の意図を読み取る」ことをねらいに実践した。同じ事柄を題材に書いた文章でも、論の展開や使用する図表・写真は異なり、結論も違ったものになってくる。そこで、編集の仕方の相違点や記事と写真の関係やその効果について読み取らせたいと考えた。

◆新聞に触れさせる。
 新聞は身近な物ではあるが、実際に読んだ経験のある児童は少ない。そこで、導入として、同じ日の5社の新聞を提示し、見出しや写真の相違点について確認した。さらに、子ども向けの新聞を活用し、「見出し」「リード」「本文」「キャプション(写真や図などにそえられた短い説明の文)」を確認させると共に、空白にした見出しを、本文をもとに考えさせて交流した。その上で各グループに新聞を配って開かせると、熱心に見入っていた。今まで意識していなかった紙面にまで目を通している姿もみられた。

◆2社の新聞を読み比べる。
 授業の最初には、必ずペアで何回も記事を読ませるようにした。最初は詰まりながら読んでいた児童も、何回も読むとリズム良く読めるようになる。そこで、記事で同じところ(表現)は赤で、違うところは青で線を引かせた。ここで重要になるのは、青で引いた線である。ここにこそ、記事で伝えたいことが凝縮されている。児童は、同じ題材の記事でも、伝えたいことの中心は異なることに気づいた。

◆写真の効果を読み取る。
 写真にも意図があることに気づかせるために2社の写真を入れ替えて考えさせた。そうすると、児童からは「見出しと写真が合っていない。」「水しぶきと見出しに書いているのに、水しぶきがどこにもない。これでは、動きが伝わらない。」など、見出しと関連させての意見が多くでた。そこで、写真の効果も考えさせた。児童は、見出しや本文と合った写真が使われていること、書き手の意図が写真にも表れていることなどを学んだ。

以下は、学習を終えての児童の感想である。

○同じ題材なのに、伝えたいことが違うことがすごいと思いました。A社は、アユのことを伝えようとしています。だけど、B社は、多摩川の自然が戻ったことを伝えようとしています。そこにびっくりしました。
○写真も分かりやすいように工夫されていることがわかりました。新聞をこれからはもっとくわしく読みたいです。
(竜王町立竜王西小)