音読いろいろ 〜拠点校指導教員として〜
高 野 靖 人

 初任者研修の拠点校指導員として、初任者4名の学級(3つの小学校)に年間各30日間訪れて研修を実施する。1日7時間の研修があり、別室で初任者に講義や演習をしたりする時間もある。

 さて、6月の示範授業(初任者の学級で行う授業)は、「音読」であった。音読の基礎基本を示し、子どもたちが経験していない様々な音読を体験させることで、音読の楽しさを感じさせることをねらいとしている。  2年生での授業(3校3学級)を紹介する。同じ6月だが、実施時期によって教材も微妙に変わる。教科書は、光村。「スイミー」の学習を3番目の学級は始めていたため、「スイミー」も音読教材の1つとして加えた。

 3番目の学校での示範授業を紹介する。まず、声を出す練習として、「ふきのとう」を4ページ、一斉読をする。その時、姿勢・口やのどの開け方・教科書の持ち方を確認する。

 次に「まちがい読み」を行う。教師と子どもたちが1文ずつ追いかけ読みをするのだが、リードする教師の方は1文に1カ所間違って読む。子どもたちは、つられずに正しく読む。例えば、「たんぽぽのちえ」の冒頭の1文なら「春になると、たんぽぽの赤いきれいな花がさきます」と読む。子どもたちは、「赤い」を「黄色い」と読み替えて正しく読む。よく音読練習をして自信のある子どもは、教科書を見ないで挑戦する。読み進めるにつれ、教室が笑いで包まれる音読である。もちろん、教師は、事前に十分検討をして、間違いをメモしておく。4ページ程度。

 次は、「たけのこ読み」。「スイミー」の中の2ページで、好きな文を3つ選び、印を付けさせる。その文の時だけ立ち上がって、複数で読むリレー音読である。だれも選ばなかった文は、教師が読む約束だったが、今回は、読む必要がなかった。

 最後は、「すすんで読み」。読めるのは、1人1文のみ。読みたいときに立ち上がる。3人立っても読めるのは1人。声を出したりじゃいけんをしたりせず、ジェスチャーやアイコンタクトで読み手を決める。譲り合いの気持ちも大事。逆に、だれも立たなければ、まだ読んでいない人が進んで立って、読むのである。
 この音読は、学級の特徴がよく出た。最後のクラスは、譲り合いをしながら4ページばかり続いた。最初のクラスは、2ページ。真ん中のクラスは、読みたい子どもが2人譲らなかったため、2つ目の文で終わってしまった。進んで読みたいという意欲は十分あるのだが、譲ってリレー音読を続けようという意識は乏しかったのだろう。学級経営のヒントも見えてきたように感じた。
(大津市立仰木の里東小)