音読から朗読へ
谷 口 映 介

 「物語を読んで感じたことや考えたことが表れるように、声に出して読む」ことをねらいに、「だいじょうぶ だいじょうぶ」(東京書籍5年上)を実践した。本実践では、朗読を中心に据えた学習展開を試みた。

音読と朗読の違い
 学習指導要領には、音読と朗読について、以下のように書かれている。
【音読】
 書き手の意図を考え自分の思いや考えと合わせて音声化していく。
【朗読】
 読者として自分が思ったことや考えたことから対象としている文章の全体的なイメージを明確にし、そのことを相手に分かってもらうように伝えようとして音声化するもの。

 つまり、朗読に移行するに当たっては、児童が自分なりに解釈したことや感心や感動したことなどを文章全体に対する思いや考えとしてまとめ、表現性を高めて伝えることに重点が置かれる訳である。そこで、今回は、学習の出口での朗読発表会に際して、次のめあてとポイントを提示した。
○めあて
 自分の感じたことや考えたことが聞き手に伝わるように朗読しよう。

ポイント(1) 「伝える」朗読の工夫
 「だいじょうぶ、だいじょうぶ」をどんな気持ちを込めて読みたいかを宣言する。
(登場人物がこんな気持ちであろうから、こんな読み方をしたいと読みの根拠を明確にする。)
ポイント(2) 聞き方の工夫
 話し手(読み手)が宣言したことが、実際に読みに生かされているかを聞く。
ポイント(3) 評価カードの工夫
 「大きな声が出ている。」「元気がいい。」「工夫がある。」などのあいまいな表現ではなく、「○○のような読み方に、人物の〜の気持ちが表れていた。」などの表現の工夫に着目する。

 朗読発表会に向けては、グループごとに読み取ったことを交流しながら練習を進めた。

◇最初は、気持ちをこめるとはどうするのかと思っていたけれど、発表に向けて練習していくとだんだんと分かってきた。
◇発表会はかなりきんきょうしたけれど、他のグループの読み方を聞いていると、なるほどなあということがたくさんあって面白かった。

 今後も、「伝える」ことを意識した読みを目指していきたい。
(竜王町立竜王西小)