表現を楽しむ
北 島 雅 晴

 卒業式の1週間前に、毎年、卒業発表会を行っている。卒業発表会には、6年生のすべての保護者に出席してもらっている。  内容は、次のように二部構成である。
  第一部 表現を楽しむ 〜日本の伝統話芸に学ぶ〜  講談 狂言 落語
  第二部 お茶会    〜感謝の心を伝えよう〜
 本校の校内研究のテーマが「表現力を高める」であり、その最終段階(小学校を巣立つ出口の姿)ととらえて取り組んでいる。

 昨年まで、劇や音楽物語などにも取り組んできたが、本年度は、「日本の伝統話芸」をテーマとした。地域の方に狂言の魅力を語ってもらい、実際に演じていただいた。落語研究会の大学生に、落語を演じてもらった。子どもたちはどちらにも興味をもつことができた。講談は、教師が演じた。(半分の子どもが、落語を初めてみたと分かり、意外に思った。)
 講談・落語・狂言の中から、自分が演じたいものを決めて、11月から、練習を始めた。6年生は4学級あり、それぞれの学級から同じ分野の者十数名が集まって練習する。

 どの分野も、演じる時にはきまりがあるので、姿勢や型を大切にした。落語では、会話の部分は顔の向きを変えて演じることを落語研究会の方から教わった。その動作が自然にできるようになるだけでも、ずいぶんと時間がかかった。
 お互いに演じながら感想を出し合い、高めていった。
「顔の向け方はよくなったけど、会話と会話の間が短すぎると思う。」
「はじめはよかったけど、だんだんと早くなっていったので、聞き取りにくかった。」
 よいところを見つけるよりも、あえて直したいところを出し合うようにして、よりよいものをめざすことを大切にした。

「落語らしい話し方がこんなに難しいとは思わなかった。」
「話すのが早いのは分かっているけど、なかなか直すことができない。」
「落語を覚えることはできるけど、楽しく聞いてもらうには、まだまだ練習が必要だ。」
 練習をはじめて2か月くらいたつと、このように前向きに取り組みたいという思いが分かる学習の記録が多く見られるようになった。

 卒業発表会前日、校内の先生を迎えてリハーサルを行った。先生からの温かい励ましと助言を聞いて、自分たちの話芸に自信を深めることができた。明日の本番を待つだけとなった。
(草津市立志津小)