ふり返るねうち 〜言葉っておもしろい〜
西 村 嘉 人

 6年生の3学期。様々な教科でふり返りと中学校生活への展望が見え隠れする時期である。
 国語科では「言葉っておもしろいな。わたしたちの言葉」の学習である。国語辞典を使いながら、
 ○「おかしい」の幾つもの意味を調べる。
 ○「明るい」「重い」など意味が複数ある言葉を調べる
等、国語辞典を「読む」面白さを感じさせた。また、
 ○「が」「で」「を」「も」の言葉を調べる
ことで、ひらがな1文字の意味がが国語辞典に多く書かれていることを教え、言葉の不思議さを感じさせる時間を作ってみた。

 このような学習指導の中で、私が一番驚いたのは、この単元に資料として掲載されている宮地裕先生の「言葉の橋」の文章への子どもたちの反応であった。
 「冬は」「シャボン玉」の2つの詩をを読みながら、
「こんな感じって、イメージできる?」
と尋ねると、子どもたちが次々と発言してきた。
「言葉に置き換えたら、しっかり伝わるってことですよね。」
「悪口ほどズドーンと心にくるんだけど、そういうことだと思います。」
「一生懸命相手を傷つけないでおこうと丁寧に話すんだけど、相手はちっともわかってくれないのって、シャボン玉みたいですよね。」
 発表がうまくないのだが、何となく2つの詩の心を突いているように感じる発言が続いたのである。

 この詩を読んだ後、「よりよい言葉の遣い手になるために」というテーマで作文を書かせた。  言葉のプラス面、マイナス面をグループ討議で整理させ、自分の経験を踏まえて意見文を書く指導を進めた。
 ・元気づける言葉の遣い手
 ・これからの自分を生かせる言葉
 ・ぼくが思う優しい言葉の遣い手
 ・温かい言葉
 ・心に残る言葉
 ・自分の言葉をふり返って
 ・言葉を見直していきたい
 ・心が温かくなる言葉
 ・私の目指す言葉の遣い手
等のような題名の小論文が集まった。題名倒れの作文はほとんどなく、一人ひとりが言葉の生活と向き合い、中学校進学を控えた自分と言葉づかいについて見事に対話しているのである。
 これまで考えもしなかった「言葉の生活」のふり返りをしながら、「学校では……」と未来を想像し、新しい生活に夢をはせるのである。これでいいのだ。6年生諸君。
(彦根市立旭森小)