一人の作家を追って
北 島 雅 晴

「国語の時間に、あまんきみこさんの作品を読んでいます。今まで一人の作家を選んでずっと読んだことがありませんでした。作品をいくつか読んでいると、あまんきみこさんは、とても優しい人ではないかなと思うようになりました。(途中略)一人の作家を選んで読むのもいいなあと思いました。」

 ある日の日記の中で、このように書いた子があった。読書の幅が少し広がったこと、国語の学習に前向きに取り組んでいることが伝わってきた。

 6年生の子どもたちの現状として、本は読んでいるが、作家に目を向けることは少ない。好きな作家がいるという子は、学級に3名程度である(34名中)。 作家という存在を意識してほしい、同じ作家の作品を複数読むことで、より深い読みをしてほしいという意図でこの学習を行った。

◇めあて
 一人の作家の作品を読むことを通して、読書の幅を広げる。

◇学習課題
 作家が読者に伝えたいことや大切にしていることを見つけながら読もう。
 3作品以上読み、共通点を見つけよう。

◇紹介した作家
 宮沢賢治 あまんきみこ 椋鳩十
 自分で選んだ作家(さくらももこ、星新一を選んだ子があった。)

 授業が始まると、今読んでいる本を取り出して静かに読み始める。しゃべり声一つ聞こえない。以前6年生で実践した時は、違う本に取り替えるために立ち歩く姿があったが、今回は見られない。今までに読書の姿勢がどの程度身に付いているか、読みたくなるようにいかに作家の紹介をするか、といったことが子どもたちの学習の勢いに影響するように思う。
 授業時間の最後には、学習感想を書かせるようにしている。

◇学習感想例
○あまんきみこさんの作品は、予想外の結末になったりすること、とても不思議な出来事が起きることが多いです。登場人物がやさしい人が多いので読んでいて気持ちがいいです。
○椋鳩十さんの作品は、自然のきびしさを教えるようないい作品が多くて、心に残りました。きっと動物の心が分かる人なんだと思いました。

 家庭でも続けて読んでいる子があるのはうれしい。この活動を何時間続けるかは、子どもの様子を見て決めるつもりである。
(草津市立志津小)